ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 数年前のことですが、私が最初に企画した健康食品のビデオ撮影で3日間のうんざりするほど長い時間を過ごしたことがありました。運命のいたずらなのか、ビデオ機器の故障のため撮影したテープが破損してしまい、時間の無駄になってしまいました。訂正します、そのカメラマンをよく知っていたので、時間の無駄というわけではなかったのですが。そのカメラマンは高血圧(原発性高血圧:hypertension)で、彼にはその時にいくつかの自然療法を勧めてあげたんです。その仕事が終わった後、音信不通だったのですがしばらくして手紙をもらいました。
 「先生が勧めてくれた方法を何年間か経った今まで実行してきました。私の食事からアルコール、ポークとビーフを除くようにして、植物性食物とハーブを増やして栄養補助食品のベータカロチン、ビタミンC、ビタミンEとBの錠剤を摂るようにしてきました。努力の結果でしょうか、最近の健康状態はとても改善しています。心弛緩期の血圧値は約30パーセント落ちています。それにコレステロール値は192から159に低下しているんです。」
働き過ぎの心臓

 原発性高血圧とは一般的に140/90より高い血圧と一般的に定義されます。最初の数字(心収縮)は心臓がポンプの作用をしているとき動脈の壁にかかる血液の押し出す力です。2番目の数字(心弛緩期)は脈と脈の間の心臓がリラックスしている間の血液の押し出す力なのです。高血圧と通常との境界線は138/88ですが、さらに下げる努力を必要とする値です。120/80であれば通常値と言えるでしょう。その理由は、血圧の上昇は心臓発作や卒中の危険性が増加するからです。
 およそ5千万人のアメリカ人が、巷間で沈黙の殺人者と呼ばれる高血圧の患者なのです。高血圧それ自身は全く症状を見せませんが、徐々に心臓発作や卒中へのお膳立てが進んでいくのです。過去数十年間、医者や医学専門家は高血圧患者の発見に大変努力をしてきて、積極的に治療に取り組み、心臓発作などの発生率を確実に落としてきました。
 私の意見ですが、問題は医者があまりにも早期に高血圧の治療を現代医薬品に頼ることなのです。高血圧と診断された人の半数が、中期高血圧との境界線なのです。そしてその半数の人たちのためには、ダイエットや普通程度の運動、ストレスのコントロールを含む生活習慣の改善、家庭用血圧測定器での自己管理を実行することで医薬品と同様の効果を生むことが明白に証明されているのです、しかも副作用なしでです。ダイエットと生活習慣の修正に取り組む努力は自分の身体をコントロールするというそれ自体の感覚が有益であり、役に立つのです。しかし、製薬業界はこんな自然流のやり方はくそ食らえといわんばかりの態度なのです。こんな方法を医者が勧めでもしたら、毎年25億ドルの抗高血圧製剤の売り上げが落ち込んでしまうのですから。
高血圧のための「緑の薬局」

 日常、愛情のこもった野菜スープを摂ることは血圧の正常化と心臓病の予防になによりの効果があるものです。それにガンや肥満、糖尿病や便秘を予防することもできるのです。野菜スープは実に健康に役立つので私はあえてミネストローネ(野菜スープ)をメディストローネ(メディカルとミネストローネの合成語)と呼びたいくらいです。さてあなたはこのメディストローネの中になにを入れるべきでしょうか?野菜なら何でもいいんですが、この章の中でちょっと簡単に述べておきましょう。確かに血圧のコントロールに有効なハーブは非常に多種類がありますが、これらをスープに入れるべきではないようです。ハーブはむしろお茶にした方が良いようです。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★★ セロリー(Celery/Apium graveolens)
 このセロリーは高血圧を下げる薬として長い間伝統的に中国で使われてきました。経験的な根拠がこれを支持しています。ある研究で、研究用動物にセロリーのエキスを注射すると顕著に血圧の低下が認められたとのことです。人間では、セロリーの茎4本を食べると同様の効果があります。
★★★ ガーリック(Garlic/Allium sativum ニンニク)
 この驚異のハーブは血圧を正常化するだけでなくコレステロールも減少する効果があります。科学的に厳格な研究で、高血圧の患者が12週間の間、一日一片のニンニクを与えられました。その後、患者さんの心弛緩期の低い方の血圧値とコレステロール値が顕著に低下したことが発表されました。「高血圧の軽減には一週間当たり15グラムのガーリックを摂ることが有効です」とインディアナ州のプルド大学のバロ・タイラー教授が言っています。一週間あたり15グラムという量は一日当たり1片のガーリックと同量なのです。野菜サラダにガーリックを使うときは、パチンとたたいてつぶしてから使ってください。
 ガーリックの臭いにまだ慣れていない方は、カプセルに入った市販のガーリックでも良いでしょう。このハーブと組み合わせでも健康に有益なので、あなたの食事の中にいろいろ取り入れて楽しんでみていただくことをお勧めします。
★★ ホーソーン(Hawthorn/Crataegus サンザシイングリッシュ・ホーソーン/チャイニーズ・ホーソーンなど)
 著名なニュースレター「ローレンスの天然産物の研究」に掲載された記事によるとホーソーンのエキスは特に冠状動脈の血管を広げる効果があるとされています。ホーソーンは何百年の間、強心剤として使われてきました。心臓のポンプ作用を高め、高血圧と低血圧の両方をコントロールするのです。もし、この強力な心臓医薬ハーブを試してみたいときは、あなたのかかりつけの医者とご相談ください。
 お茶として飲むときは、沸騰したお湯1カップ当たりこのドライハーブを茶さじ一杯を入れ、一日二杯を限度に飲みます。
★★ クッズーバイン(Kudzu/Pueraria lobata クズ/葛根:カッコン)
 中国の研究ではこの雑草のようなツル科の植物には血圧の正常化を助ける効果を示唆しています。その中の研究で、クズ根茶さじ八杯を入れてお茶を作り、52人に2週間から8週間毎日投与しました。17人の人の血圧がめざましく低下しました。他の30名にも効果が見られたと言うことです。
 クズには実験動物の結果ですが、血圧を15%低下させる化学物質(プエラリン)が含有しています。ビタミンEの100倍の抗酸化作用の働きがあるとも言われるプエラリンは心臓病やガンをも予防するのです。(抗酸化剤はフリーラジカルとしても知られる酸素分子が起こす細胞ダメージを中和する物質です。)
★★ オニオン(Onion/Allium cepa タマネギ)
 ある研究では、毎日2,3杯のオニオン・オイルを摂ることで中程度の高血圧症の人々の67%が血圧の低下を見たということです。心収縮レベルは平均25ポイント低下し、心弛緩の数字は15ポイント落ちたのです。残念ながらオニオン・オイルの入手は困難だし、同様の効果が出るだけのオニオンを食べることもできることではないでしょう。私の場合だと体重の3倍の重さのオニオンを摂らなければなりません。ごめんですね。
 しかしこのオニオンには毎日のダイエットの中に取り入れることで高血圧の軽減にも確実に役に立つと思っています。
★★ トマト(Tomato/Lycopersicon lycopersicum)
 普通のミネストローネにはトマトをベースに使っていますね。メディストローネ・スープにも最適ですね、トマトは多量のガンマアミノ酪酸(GABA:神経伝達物質の一つ)を含み、これは血圧の降下を助ける物質なのです。私の資料によると、トマトにはまた、同じような効果のある6種類の物質を含んでいるのです。
★ ブロッコリー(Broccoli/Brassica oleracea ミドリハナヤサイ)
 この野菜には少なくとも血圧を降下させる効果のある6種類の物質を持っています。
★ キャロット(Carrot/Daucus carota ニンジン)
 私の資料に依れば、キャロットには血圧を下げる8種の成分を含みます。
★ サマーパースレイン(Purslane/Portulaca oleracea スベリヒユ)およびマグネシュウムを含む食物
 マグネシュウムの欠乏は高血圧症と関連があるとされています。多くのアメリカ人はこのミネラル分が不足していて、それを自覚していないようです。1994年のギャラップ調査では72%の人たちがマグネシュウムの摂取不足と報告しています。
 マグネシュウムの摂取には緑葉、まめ科植物や全粒穀物を多く摂ること。サマーパースレーンやポピー種子、サヤエンドウなどは最高の食事療法の源になるでしょう。栄養士は毎日400ミリグラムのマグネシュウムの栄養補助剤を摂るよう勧めているようですが、私はむしろこれを食事から摂取することをお勧めします。
★ サフラン(Saffron/Crocus sativu)
 この高価なハーブにはクロセチンと呼ばれる血圧降下作用のある化学物質を含んでいます。その道の権威者達はサフランの消費の高い国民、たとえばスペインなどでは心臓病の発生率が低いことに注目しているようです。あなたもサフランを使って料理やお茶を楽しんでみませんか。
サフランについて:サフランはサフランの花の柱頭だけで作られた貴重なスパイスです。75,000個の花の中心部から採れるスパイスの量は1ポンド(約450グラム)。
★ バレリアン(Valerian/Valeriana officinalis セイヨウカノコソウ)
 この章の中途でお話ししたようにガンマアミノ酪酸(GABA)が血圧のコントロールに役立つとお話ししました。そうなんです、バレリアンというハーブは吉草酸と呼ばれる、大事なGABAを破壊する酵素を抑制する化学物質を含んでいるのです。だから吉草酸を含む物を摂取すると言うことは事実上GABAのレベルを高く保つことで血圧値を低値に保つ事につながるのです。バレリアンはまた、血圧を安定させるとともに、トランキラーザー(鎮静剤)としても働くのです。ただし、大量に使ったり連続使用しない方が良いとも言われています。
★ スープ用のスパイス
 あなたがメディストローネ・スープを作るならば加えてほしいスパイスがあるのですが、それはフェンネル(血圧安定に役立つ成分が少なくとも10種含有)、オレガノには8種、ブラック・ペッパー、バジル、タラゴンには各6種も含んでいるんです。