ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 これまで疲労というのは結果的な症状と考えられて来たようなのですが、ここ10年の間に、国民の間に慢性疲労症候群(CFS)という立派な病気ではないかと言われてくるようになりました。あなたがこの「疲労」についてお話しする相手に依るでしょうが、この病気はまったく存在しないのでしょか、または単なる流行なのでしょうか。訳の分からないこの手の症状の原因として上げられるのが:アレルギー、食物過敏症、薬物反応、菌感染、精神障害、EBウイルスによる慢性疲労(単核症を引き起こす犯人)などきりがありません。
 ある推定によると、3百万の米国人―全世界で9千万人の人たちが、CFSと関連がある明らかな症状を経験しているとのことです。専門医が説明する症状とは、睡眠によっても快復しない深い無気力感、ゆううつ、頭痛、発熱、不快感、物忘れ、こころの混乱、集中力欠如、関節や筋肉の痛みや弱体、免疫力の低下、軽度作業での疲労困憊、のどの痛み、胃痛、リンパ節のはれが挙げられます。全く奇妙なことに、ハッキリと症状があるのに病気が発症しないし、医者による健康診断や臨床検査でも身体的な異常は発見できる例は多くないのです。NIH(米国立衛生研究所)の推定ではCFSのリスクの最も高い人種は白人で、中流階級の女性であると報告しています。
 わたし(著者)はCFSは現実の症状であると信じています。また、多くの医療専門家がこの分野でたいへん混同していることも事実です。伝染病やアレルギー、食物、薬物、栄養素の欠乏、その他の病気などたくさんの原因が基になっているかも知れないようです。なぜならCFSは大変多面的で、「原因と治療を完全に理解できる」などと言える鉄面皮な人間はいないのです。
 慢性疲労の症状のある全ての人たちへのアドバイスは、「この症状を理解し、あらゆる原因を探り出し、的確なアドバイスができる良き医者を探すこと」ということになるでしょう。なにがあなたへの救いになり、なにがあなたを傷つけるのかを知るために、是非とも食物アレルギーを含めた全てのアレルギーのテストを行ってくれるかかりつけの医者をもつことです。
 ハーブ療法へと進む前に大事な注意として:CFSに詳しいほとんどの専門家は患者自身が取る食物全体を検証し、ベジタリアンかそれに近い食事で症状の変化を見ることを勧めるでしょう。たとえもしそれが功を奏さなくても、この方法は心臓病やガン、肥満、高血圧など幾多の危険な病気へのリスクを回避することになるでしょう。何か気になる症状がたとえ慢性疲労から来るものでも、そうでなくてもです。
慢性疲労症候群のための「緑の処方箋」

 これらの症状に有効なものとされるハーブが沢山あります。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★ 抗ウィルス性と分類されるハーブ類
 私の尊敬する何人かのハーバリストは抗ウィルス・ハーブの組み合わせたものを慢性疲労の患者さんに投与すると、大変高い確率で症状の軽減に成功していると主張しています。それらのハーブとしてはエキナケア、ゴールデンシール、リコリス、レモンバーム(メリッサと同じ)とジンジャー。この試みには試してみる価値が大いにあると思います。上記のハーブを等量ずつブレンドするか、好みに合わせて量を変えても良いでしょう。
 好みのハーブをティースプーン1,2杯ずつブレンドしたハーブ茶を日に2,3回カップ一杯づつ摂ります。作ったハーブ茶はあなたの身体から精力を引き出します。
★ チョウセンニンジン(Asian ginseng/Panax ginseng)およびシベリア・チョウセンニンジン(Eleutherococcus senticosus)
 ドイツ政府機関にハーブに関するアドバイスを提言する"コミッションE"の科学者グループは、「チョウセンニンジンには倦怠感やエネルギー欠乏による衰弱、集中力の欠如、病気回復期における強壮剤としての効力がある」との薬効を認定するよう提言しています。提唱された一日の服用量は「沸騰したお湯にスプーン一杯を入れて作ったお茶を飲む」とのこと。臨床研究で、このチョウセンニンジンは運動選手の成績を上げることが分かりましたが、このハーブの効き目は通常の使用で一ヶ月以上は持続しないようです。
 チョウセンニンジンはまた免疫システムを活気づけることが、動物で繰り返し実験した結果確認されています。リビアでは数千年の間、活力を高める強壮剤として、また現在ではロシアの宇宙飛行士やアジアのオリンピック選手の間で、全てのタイプのストレスへの耐性の増強に使われています。更に加えて疲労の軽減、敏捷性の向上、筋力運動の協調性、記憶力とストレス処理能力の向上が期待できます。
 数年前の話ですが、私と共同作業していた男性は戦争による神経症を患っていて、私に服用している"活力を増強する調剤薬"にはカフェインがあるのかどうか聞いてきたんです。その薬にはダミアナ、チョウセンニンジン、ローヤルゼリーとノコギリパルメロットが処方されていました。彼にはその薬が効いていたんですが、ただ心配は早朝に不必要に目をさましてしまうことなのでした。彼の話では、目を覚ますとすぐにすごく働く意欲がわいてくるのでした。「とんでもない」私は言ってあげました、「カフェインなんてありませんよ。」でも、チョウセンニンジンにはすごく興奮作用があるんですよ、と付け加えておきました。「それでいいんです、そして働きたいと感じたら起きてそうしなさい」と忠告してあげました。(働く意欲をムダにしないように注意してくださいね。)
★マテ(Mate/Ilex paraguayensis)
 ドイツのコミッションEはティースプーン1,2杯で作ったこのマテ茶を毎日飲むことでメンタルなまた肉体的な疲労を追放できると認めています。マテ茶のエネルギー活性作用のほとんどがカフェイン成分から来ています。時折の元気付の薬として飲む分には良いでしょうが、慢性疲労の薬としては私はお勧めできませんね。
★ サマーパースレ-ン(Purslane/Portulaca oleracea)およびマグネシュウムを含有する食物
 緑色野菜のジュースからマグネシウムを取ることでスタミナやエネルギーを増強する事が大切だと主張するジュース派の人々がいます。もし、もっとマグネシュウムを取りたければ、お勧めのハーブとしては、サマーパースレーン、サヤエンドウ、ホウレンソウ、ササゲ、スティンギングネトル(セイヨウイラクサ)、ポピーの種子、リコリスの根、コリアンダー(コエンドロ)などが挙げられます。
 マグネシュウムだけを取るならマグネシュウムを含む栄養補助食品(一日必要量は400ミリグラム)でも取れるでしょうが、私はむしろパースレーン、サヤエンドウ、ホウレンソウの合わせサラダにポピー種子のドレッシングで摂取する事をお勧めしたいです。栄養補助食品からは一種類のミネラルと併せて数種の植物性化学物質はとれることでしょうが、ハーブ全草ならばその中に健康維持に役立つ植物化学物質が何と百種類以上が取れてしまうのです。
★★ホウレンソウ(Spinach/Spinacia oleracea)など葉酸を含む食物
 あなたが必要とするビタミンやミネラルは栄養補助食品からよりも食べものから摂取することをお勧めしたいのですが、葉酸(天然に取れるもの)の欠乏はごく日常的に生じるものなのでこれは葉酸の栄養補給剤を必要とするかも知れません。
 平均的なアメリカ人は葉酸の一日必要量400ミリグラムのおよそ61%しか摂取していないからです。あなたが葉酸を錠剤から取ろうとかまわないのですが、基本的に良質の食物のホウレンソウ、サヤインゲン、アスパラガス、ぶろっこり、オクラ、芽キャベツを無視することはできません。
★ウィートグラス(Wheatgrass /Agropyron、various speciesシバムギ、バミューダグラス)その他の草類
 青ジュース愛好者はよく疲労回復にはウィートグラスのような青ジュースを勧めているようですね。個人的には、上記のいろいろな種類の全草をジュースにしたものに大麦、エンバク、ウィートグラスなどを粉末にして-加えると、より疲労回復の効果が上がるでしょう。