ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 エジプトの少年ファラオ、ツタンカーメン王の墓が発見されたとき、考古学者が見つけたのは芸術的工芸品の埋蔵物のかずかずでした。
研究者たちが特に興味を引かれたのが老化の進行に関するもので、それはパピルスに書かれた王様のためのしわ予防の方法でした:内容はココナッツオイルとハーブのバルサム(ホウセンカ)やバレリアン(セイヨウカノコソウ)を合わせたものを動物性油脂で混ぜたもの。
 ファラオのしわ予防の方法は、何百年もの間考えられてきたいろいろな方法とは全く違っていて、クマやガチョウからとれる油脂からタールやテレビン油までなんでも含まれていたそうです。もちろん、最大の疑問は、「本当に効くの?」ということです。
肌の弾力がなくなる?
 その質問に答えるとき、私たちが最初に知るべきことは、なぜ皮膚にしわが作られるのか?ということです。しわはコラーゲン(膠原質)が変質した結果で、コラーゲンは皮膚の細長い繊維状を作っているタンパク質の一つです。
 コラーゲンのもつ弾力に富む頑丈な構造はあなたの体をつなぎ止める接着剤の役目をしているのです。コラーゲンは私たちの身体のタンパク質総量の三分の一を占め、身体の結合組織の70%はコラーゲンで作られているのです。
 若い人の皮膚と結合組織の大部分は弾力と溶解性があるコラーゲンを豊富に含むので、その結果として皮膚になめらかさと保湿性や張りを生ずるのです。この保湿性と皮膚の張りを保持する性質が肌の若さを保つことになり、見た目にもなめらかですべすべした肌になるのです。
 しかし、太陽光やたばこの煙にさらされたり通常の加齢現象が肌の酸化による損傷をひきおこします。この損傷はたとえば鉄がだんだんとさび付いていく化学反応と同じことが肌におきることです。
 体内ではこの化学反応が徐々に起こることで弾力性のない不溶解性のコラーゲンが生成、この物質は水分の吸収力が低くなるので肌のふくよかさが失われて来るのです。肌の弾力性と湿度を失うことはつまりしわとなって、特に太陽の光に当たる部分―顔や首筋、手の甲に目立つように表れるのです。
 多くのコマーシャルで「当社のモイスチャークリームが溶解性のコラーゲンに戻して皮膚の細胞に水分をより多く吸収させることでお肌を若返りさせ、しわを追放します。」と言い立てて販売しているようです。私は正直なところこの様な働きをするかどうかわかりません。 しかし、あなたがそれらの商品のために多額の費用を費やす前に、少しナチュラル指向での方法をお試しになったらいかがでしょうか。
しわ予防のための「緑の薬局」
最もナチュラルなしわ予防の治療には抗酸化作用物質とエモリエント(柔軟剤)に頼ることでしょう。抗酸化作用物質というのは非常に高い化学反応性をもつ活性酸素分子(フリーラジカル)という体内細胞を酸化によって細胞組織の損傷を起こす原因物質をきれいにぬぐい取ってくれるものなのです。エモリエント(柔軟剤)は湿気を与えることで肌をソフトに保ち、肌の乾燥を予防してくれます。以上の効果を提供するナチュラルトリートメントをご紹介します。
★★★ホース・チェスナット(Horse chestnut/Aesculus hippocastanum セイヨウトチノキ、マロニエ)およびウイッチ・ヘーゼル(witch hazel/Hamamelis virginianaアメリカマンサク)
 日本の科学者が65種の植物エキスを検証した中でその7種に活発な抗酸化作用を持ち、しわ予防の可能性のある事がわかりました。
 そのうちの4種類があなたにも入手可能なもので、ホース・チェスナットとウイッチ・ヘーゼル、ローズマリー、セージですが、研究者は声をそろえてホース・チェスナットとウイッチ・ヘーゼルが一番と言っています。その両方ともが大変強い抗酸化物質を含有するのです。
 市販のアストリンゼント(収斂性化粧品)などにはこのハーブが使われていますが、私は自分で混合して作るほうが好きです。
★★キャロット(Carrot/Daucus carota ニンジン)
 キャロットにはビタミンAが豊富に含有、このビタミンの欠乏は乾燥肌やしわの原因になります。このキャロットにはまた、抗酸化剤のベータカロチンも含有します。
 キャロットを毎日1個か2個バリバリと食べることでしわの予防だけでなくこの野菜にたっぷり含まれているガン予防の物質も取り入れることにもなるのですからこれを勧めないわけにはいきません。局部的に使うにはキャロットオイルが効果的でしょう。
 その豊富なビタミンAレベルは太陽の紫外線防止になると、オウベリー・ハンプトンの著書「ナチュラル・オーガニックによるヘアケアとスキンケア」の中で野述べています。
 白状すると私はまだキャロットオイルは試していないのですが、時折ミキサー等でマッシュしたキャロットをフェースマスクにして使っております。前に一度、だれかに赤っ首のハンサムおじさんと呼ばれたことがあるんですよ。(すり下ろしたキャロットは15分から30分たったら洗い落とすこと)
★★ココア(Cocoa /Theobroma カカオ)
 ほとんどのスキンローションや化粧品に使われているエモリエント(柔軟剤)にはココアバターがしわ予防剤に多く使われていると薬理学者のアルバート・レング博士が示しております。
 これは体温で溶けて乾燥肌にうるおいを与え、特に目のまわり(カラスの足跡)や口もと、首筋に効果が上がります。私がこれが好きな理由はアマゾンが原産地だからです。同じ効果のトロピカル・エモリエントにココナッツオイルも使えますよ。
★★キュウリ(Cucumber /Cucumis sativus)
 よく冷やした切りたてのキュウリには日焼けやしみ予防を含めてやけどの損傷を和らげる長い歴史があります。キュウリは市販のモイスチャークリームと同様の効果を大変安価に提供してくれます。
 薄く輪切りにしたものをお肌にのせて滑らせて下さい。またはミキサーなどマッシュしたりすり下ろしたものをフェースマスクに使って下さい。15分から30分したらすすぎます。
★★ サマーパースレイン(Purslane/Portulaca oleracea スベリヒユ)
 この植物は私のお気に入りの抗酸化剤の内の一つなんです。もしも新鮮なサマーパースレインが手に入れば、是非サラダの材料にどうぞ。または、肌の疲れをいやすフェースマスクとしても効果があります。
 ミキサーやジューサーで使いやすくして、顔全体に軽くたたいてなじませ、15分から30分くらいしたら洗い落として下さい。
★★ローズマリー(Rosemary /Rosmarinus officinalis マンネンロウ)
 その他の有力な抗酸化物質に、ローズマリーが日本の研究者たちによってしわの予防と治療に有望なハーブとして認められています。
 料理のスパイスになるし、これをハーブ茶にするときは沸騰したお湯カップ一杯当たり乾燥させて砕いた葉っぱをティスプーン1,2杯いれてつくります。
さらにサマーパースレインをブレンドしても良いですね。
★★セージ(Sage/Salvia officinali ヤクヨウサルビア、ガーデンセージ)
 ホース・チェスナット、ウイッチ・ヘーゼル、ローズマリー、セージの順で他のハーブにはない効果があると日本での研究で認められています。料理のスパイスに使うか、お茶として沸騰したお湯カップ一杯当たり乾燥破砕した葉をティースプーン1,2杯を入れて飲むことをお勧めします。
 適量を利用するにはとても良いハーブですが、セージにはツジョン(thujone)という成分がかなり含有していてすごく多量に服用したりするとけいれんや引きつけの発作を起こす可能性もあるのでご注意下さい。
★アーモンド(Prunus dulcis)
 アーモンドオイル、聖書にも記述され聖油として王や聖職者にかつて使われたものには化粧品や香水の世界にもよく使われるようになってきました。
 これをエモリエント(柔軟剤)やマッサージオイルとして使えばしわの成長を予防することでしょう。
★アロエ(Aloe vela)
 アロエには常に誇大広告がつきまとうようです。クレオパトラが毎日美顔マッサージにアロエのジェルを使ったとか。ナポレオンの最初の妻ジョセフィーヌがフェースローションにミルクにこのジェルを加えたとか。そしてアロエは多くの現代のスキンケア製品の原料に使われているとか。
 果たしてしわの予防になるのでしょうか?試しても特に肌を痛めることはないでしょう。
★ アボカド(Avocado/Persea americana)
 うれしくなるような良い香りのアボカドオイルは特に乾燥肌の人々に有益なエモリエント効果が得られます。あなたのお顔に直接擦り込んでください。
★カスターオイルプラント(Castor/Ricinus communis ビーバー、ヒマ)
 カスターオイルプラントの実からとれたオイルは聖書の時代の頃からフェイシャルオイルや化粧品の原料として使われてきました。明らかにエモリエント効果もあるのですが、時代に合わないのでしょうか使われなくなってきているようです。
★グレープ(Grape/Vitis vinifera ブドウ)
 グレープには前出したAHAを含有、この物質には死んだ皮膚細胞を顔からはがし落とす効果があります。
 AHA成分は薬局や化粧品店のスキンローションの多くに使われており、「くっきりじわやこじわを解消」するとうたわれているようです。
 わざわざ買わなくても、自分で天然の素材で作れるのに?いろんな種類のブドウの種も含めて、ジューサーなどでマッシュ(すりつぶした)グレープをフェーシャルマスクに使うのはいかがですか。15分から30分たってすすぎ落として下さい。
★オリーブ(Olea europea)
 ヘブライの予言者ホセアは「オリーブの木は美の化身」と言ったそうな。でも彼は「しわはオリーブオイルで消し去れる」とは言わなかった。
 しかし聖書の時代からオリーブオイルはお肌を和らげ美しくするために使われてきました。エモリエント(柔軟剤)としてオリーブオイルはしわの成長を遅くする効果もあります。
 多くの女性はオリーブオイルをエモリエントに使う前にお顔に弱い蒸気を当てておくようです。
★パイナップル(Ananas comosus)
 かつて私が読んだ資料の「パイナップルの皮に含有するAHAが腱膜瘤(外反母趾)やイボを除去できる」とあるのが本当ならば、パイナップルの皮と芯を取り出してミキサーで液状にしたものを、フェースマスクにして塗り当てて、皮膚表面の死んでしまった皮膚層の除去に役立てることを私はすぐにでも実行いたします。
15分から30分間フェースマスクしてから洗い流して下さい。(魚の目、タコの除去には、もっと長時間パイナップルを患部に塗り当てた方がよいでしょう。)