ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 数年前、CBSの「ダン・ラザーが見た」というプログラムでインタビューを受けたときのことです。このプログラムのほかのコーナーで司会のラザー氏は米国食品医薬品局(FDA)の理事のデービッド・ケスラー博士と会見していました。画面の中では、私はエクアドルにいたのでいつもの田舎臭い野良着を着たままの姿でした。ケスラー博士はといえば自分の事務所でネクタイと背広をパリッと着て革張りの椅子に収まっている様子でいかにもその道の権威を彷彿とさせていました。その番組の中で私とケスラー博士とは会ってもいないし討論もしたことはなかったのですが、私たちの服装の違いはそれだけで多くを物語っていたものでした。
 ケスラー博士と私とのハーブと栄養補給剤に関しての意見は一致しませんでした。私はその有効性に確信を持って説いたのですが、彼は反対に激しくそれらの有効性を非難していました。その方法は健康を維持、改善したり治療さえする、さらにある症状を予防する方法としては大変に安価に済む方法なのですが。
 しかしFDAはハーブや栄養補給剤に対しても幅広い臨床試験を実施し、FDAが満足するような結果を証明しなければ医学的な効果は決して認めることは出来ないとの立場に立っていました。1995年当時でも、どんな新薬でも安全性と有効性についてFDAの要求する内容を証明するためのコストは最低でも5億ドルはかかると言われていました。もちろんハーブや栄養補給剤も例外ではなかったのです。ハーブや栄養補給剤の業者の中でそれほどの金額を持っているところはほとんどありません。ただ製薬会社だけが新薬の認可を受ける際の費用を費やすことができました。その理由はある新薬を開発してその認可を取得すれば、その薬はパテントとして登録し保護されながら、長年の間会社に莫大な利益をもたらすことが出来るからなのです。"新薬の認可"という投資にかかった費用はその間に補って十分に余りあるほどの金額なのです。でも、だれがプルーンジュースの優れた通じ薬という効果を何億ドルもの費用をかけて証明するでしょうか?それはですね・・プルーンは特許にすることは出来ないのです。ということはかかった資金は回収できないということです。
プルーンのすごさ

 番組の演出家はダン・ラザーを呼んで、私にケスラー博士に質問はないかと尋ねるように言っていました。私は彼に「ケスラー博士にプルーンジュースのボトルを持たせて、これが安全かどうか効果的な通じ薬かどうか聞いて欲しい」と言うつもりでました。もし博士がノーといったら、博士に飲んでもらいその結果を博士自身で確かめてもらうよう提案るつもりだったし。また、もし博士がイエスといったら、なぜFDAはプルーンジュース業者に表示義務法で「プルーンジュースが安全で有効な下剤」という表示を禁じているのかを聞くつもりでいたんです。
 近所のスーパーマーケットでプルーンジュースは1リットル約1ドル30セントで買えます。下剤としてはこれ以上に有効で安価、しかもおいしい薬は手に入らないでしょう。また、近所のハーブ店には、よく効く植物性下剤として---ルバーブの根(rhubarbroot大黄の根)、カスカラ・サグラダの樹皮(cascarasagradaクロウメモドキ科)、センナのさやと葉、およびプシリウムの種と皮(psylliumヨウシュオオバコ)―――はほとんど安価で手に入りますが、味のほうは多少我慢をしていただきます。
 そうこうするうちに、FDAが認可した下剤の市販薬には、上記のセンナ、カスカラ・サグラダか、プシリウムがそのまま使われていたことが解ったのですが、その価格は比較的に高い値段か付いているようです。普通のアメリカ人はたいてい下剤としてプルーンジュースを使っているようです。FDAはなぜ有効性を説明したラベルを付けることを許そうとしないのでしょうか?
食物繊維の実力

 悲しい事実として、ほとんどの人は正しい食生活をしていれば、下剤などはおそらく必要としないでしょう。医者ならばだれでも高食物繊維の食事につとめていれば食物が腸を通るときに便秘状態を自然にコントロールしていることを知っています。
 家族が大腸ガンの家系のおかげで、わたしはずっと昔から食物繊維フリークでした。これはイギリスの高名な外科医のデニス・バーキット博士と東アフリカで過ごした時に彼が話していたのをはじめて聞いてからのことです。バーキット博士の記録では、アフリカ奥地のような非産業社会では、人々は非常に高食物繊維の食事を摂っていて、便秘の経験はほとんどしたことがなかったとあります。バーキット博士がアフリカで見た、便秘で悩む唯一の人たちは富裕層の人たちで、その食事は多くのアメリカ人が摂っているのと同じ低食物繊維の食事だったのです。
 ここに便秘の悩みを生む確実な法則がありそうです。あなたの食卓から食物繊維に富むフルーツ、野菜、それに豆類を省いていませんか。食卓には肉や脂肪、それにチーズなどの酪農食物がタップリ並んでいませんか。
 推定アメリカ人の10人に一人が便秘を経験して、そのうち年配者の5人に一人が悩んでいることがわかっています。私が「食事の内容で便秘を避けることができる」と人に言うときには、プルーンジュースのことは話しません。全粒穀物とフルーツや野菜の食物繊維ですでに便秘から解放されてしまうのです。
 民間療法として食べ物に"下剤薬"の地位を与えるとこんなものが挙げられます。アーモンド、りんご、アボガド、チコリー、タンポポ、ナツメヤシの実、エンダイブ、イチジク、麻の実、ぶどう、マンゴー、パパイヤ、パセリ、柿、パイナップル、プルーン、大黄、大豆、カブ、クルミおよびクレソンなど。このリストからスープおよびサラダの新ア作を作り出すのは簡単ですね。
 あなたが便秘ならば、食事の内容は次の法則に従って変えるべきです。その法則とは"食物繊維食品5種をダブルで摂る"、つまり一日に5種類のフルーツと5種類の野菜を食べるという意味。これを実行して2日経っても変わらなければ、第二次計画としてフルーツと野菜の量を増やす反面、肉とか精製粉のパンの量を減らす事を実行してください。それに、便秘があなたの長年の悩みならばお茶を避けてみてはいかがでしょうか。お茶にはタンニンが豊富ですが、これを避ける理由はタンニンには下痢を止めたいときに使われるからです。タンニンには便を固めて、腸の動きを抑える働きがあるのです。
 フルーツと野菜のジュースも又特効薬、食物繊維がタップリだからです。プルーンジュースは食物繊維の量はトップ、でもジュース愛好家の中にはリンゴと西洋なしのジュースが下剤には最高の薬と主張する人もいますが。野菜のジュースのなかではアスパラガス、クズイモ、ジャガイモを推薦します。機械を使ってジュースにする人、機械の中にはせっかくの食物繊維を除去するものがあるからご注意。
便秘のための「緑の処方箋」

ハーブの中にも便秘を予防したり治療したりすることが出来るものがあります。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★ フラックス(flax/Linum usitatissimumアマ)
 「アマの種子(油)には便秘に対して治療効果がある」とコミッションE(ドイツの科学者団体がつくるハーブ治療に関する委員会でこれは米国のFDAと同じ権威のある団体)により推奨されていることはよく知られています。コミッションEが推奨する方法には、一日数回アマの種子を砕いたものを茶さじ1から3杯程度摂取すると効果がでるとあります。
 特に注意すること:この治療を試す人は、同時に大量の水(一日にコップ8杯程度の水)を飲んでください。そうでないとハーブが消化器官を良く通らないことがあるからです。
★★ プリシウム(Pcyllium/Plantago ovataヨウシュオオバコ)プランテーン(オオバコ)の近縁種(漢方では、オオバコの種子を「車前子(しゃぜんし)」という)
 粒の細かいプシリウムの種は粘奨剤と呼ばれる繊維を含み、消化管の中の流れを非常に良くする働きがあります。水に浸すと25倍の重さの水分を吸収しジェル状になって膨張性緩下薬や減量用の食品にも使われます。便を増量し、大腸壁を圧迫して腸筋を刺激して便通を強制的に促します。
 プリシウムはドイツでは大変にポピュラーで、コミッションEでも承認されたハーブです。慢性の便秘には一日ティースプーン3から10杯を飲む。アマの実と同様に、プリシウムも大量の水を飲んでください。もし、水を補給しないとあなたの腸を塞いでしまいかえって害を与えてしまいます。
 喘息の患者さんは使ってはいけません。また、プリシウムの粉末を吸引するとアレルギー反応から喘息を引き起こすことがあります。もしもこのプリシウムを服用してアレルギー反応が出たら、二度とこれを使ってはいけません。
★「アロエ」(Aloe:種類がある)、バックソーン(Buckthorn/Rhamnuscatharticus和名:不明)、カスカラ・サグラダ(sagrada/Rhamnuspurshianus)、フランギュラ(frangula/Frangula alnus)およびセンナ(senna/Cassia sennaコバノセンナ、カシアセンナ)
 これらのハーブはすべてアントラキノンと呼ばれる強力な自然便通促進成分を含有しています。ドイツのコミッションEはこれら全てのハーブを便通に効果有りと認定しました。いずれにしろ、これらのハーブは最後の砦として残しておくことをお勧めします。まずは、高食物繊維の食事をとることに努力してみることが大事なことだと思います。アントラキノンを含有するハーブは不快なくらい強力に薬効を発揮します。また、消化器官に炎症を起こしたり、血便、嘔吐などを引き起こす可能性もあるのです。
 アントラキノンを含有する緩下剤は長期間の服用を避け、妊娠期間と授乳期には使わない方が良いでしょう。長期間の服用を許すと安易にこのアントラキノンに依存しがちなのであえて、私が最後の砦と申し上げたのです。
★ フェヌグリーク(Fenugreek/Trigonella foenum-geraecumコロハ)
 プシリウムのようにこの種子は、消化管の中の流れを非常に良くする働きがあります。
 フェヌグリークを使うときはやはり大量の水を飲むことを忘れないこと。ティースプーン2杯以上は服用しないこと、腹痛を誘因することがあります。
★ ルバーブ(Rhnbarb/Rheum officinedeダイオウ)
 ある雑誌に掲載されたロナルド・ホフマン医学博士の便秘救済のレシピーは私のお気に入りです。葉っぱを取ったルバーブの茎を3本分ピューレにします。リンゴジュース1カップ、むき身のレモン四分の一と蜂蜜をティースプーン1杯を加えます。どろっとした酸っぱい飲み物ですが、だまされてみてはいかがですか?ホフマン博士はルバーブの大家のようです。
 カスカラ・サグラダやセンナが持つ成分とほぼ同じ便通を促進する成分が含まれています。しかも、食物繊維もタップリ。
 よく理解しておいて欲しいことは、強力な便通促進作用のあるハーブを取る前にまず第一に他に取るべき便通法がいくつもあるということです。