緑の薬局、買いますか栽培しますか?
 ハーブ医療に興味をもったらどこから始めましょうか?ここでのお話がお役に立ちます。多くのハーブは購入することが出来ますが、自分で栽培したいものも出てくるでしょう。是非試してみて頂きたいものです。

医療用のハーブを購入する
 しっかりした効果を期待できるハーブを購入したいときは、標準的なものであれば健康食品店かハーブ専門店でしっかりした品質のものを選ぶこと。実際、ハーブの調合は急速に市民権を得つつあり各種の良質のハーブがあなたの住む地域でも手に入りやすくなってきています。
 標準規格品のハーブという意味はそのハーブの持つ主要な活性物質成分が最低基準含有率以上保証されているということです。
 そのような品質管理されているハーブが最高の品質です。年々のハーブが生育する自然環境の変化で薬効成分の含有量も変化するので、安売りしているようなものよりも数種の同種ハーブを調合して品質の保持につとめている製造者、輸入業者を選ぶことが必要でしょう。これから使おうとするハーブに含まれる有効成分がどの程度の量かを知ることは重要なことです。ただ、このように標準規格品として品質保証されているものは量り売りに比べて価格が多少割高になるようです。
 ハーブ抽出エキスなる商品も出回っていますが、手軽でどこででも入手が可能ですが、たいへん高価で生薬の10倍程度の価格ですが、抽出工程で有効成分が多少失われてしまいます。ラベルをみればその品質について知ることが出来ます。
 ただ残念なのは日本では米国のようにFDA(食品医薬品局)のような機関が無いのと、ハーブは医療品(漢方を除いて)としては認められていないので規制がないためラベルに良心的にその内容を詳しく記載されているものが少ないようです。
 ハーブのもつ医薬効果を誰が数億円という巨額の費用をかけて成分研究や臨床実験などをとおして証明するでしょうか?ハーブの取扱業者ですか?こんな費用を掛けられるのは巨大な製薬会社しかないでしょう。ところがハーブを薬として立証するために多額の費用を投じてもハーブを特許にすることは出来ないので、巨大製薬会社でもそんなバカな事はしないのです。同様に米国ではハーブ製品にはハーブの持つ副作用などの情報はラベルに記載を禁止されています。この意味は、米国の薬事法では医薬品しか副作用情報は記載できない事になっているのです。ラベルにはっきりと情報が記載されていないことは、消費者に大切な情報が届かないということなのです。このことがこのレポートの目的のひとつで、ハーブを安全で有効に取り入れてもらうためにあなたに必要な情報を提供してあります。
 ハーブの入門として12種類の薬効の良く知られたハーブを書いておきます。いちょう以外はごく普通に買えるハーブでよいです。
1 カレンデュラ(Calendula キンセンカ)
軟こうとして市販されているには、打ち身、切り傷擦り傷などに使う。殺菌、抗真菌作用が高い。
2 カモマイル(Camomile カミツレ)
チンキになったものは鎮静剤として頼れまた、お茶で飲めば胃腸を整える。精油として使えばアレルギーによる発作を予防し、炎症、細菌、潰瘍、ウィルス、真菌類を抑える。外用には精油の希釈液を塗って細胞の再生を助け、また肝臓の再生を助ける。
3 エキナセア(Echinacea エキナケア)花と根は人の免疫システムを活性化する。HIVや病気への耐性をつける。現在エイズ研究者により研究が進められている。毒性はない。
4 イブニングプリムローズ(Evening primrose メマツヨイグサ)
種油は薬効がある。この種油の脂肪酸は皮膚を健康にして、月経前症候群やアレルギー性湿疹を緩和し血圧を下げる。また、精神分裂症、関節炎、アルコール依存症、神経性食欲不振、パーキンソン病などの治療薬の可能性を秘めている。
5 ギンコウ(Ginkgo イチョウ)
イチョウの葉の成分はたいへん有効な成分が抽出される。黄葉の抽出液は血管を強くし、有用ビタミン各種が含まれ細胞のエネルギーを高め、脳の働きをよくする。総合的に老化にブレーキを掛ける効能がある。
6 チョウセンニンジン(Ginseng)
薬用効果の高い直根は五年以上経たないと熟さない。個人での栽培は無理。内分泌系、新陳代謝、循環器系、消化器系の機能を高める。このハーブは継続して服用すべきでない。
7 ホーソーン(Hawthorn サンザシ)
成長の遅いこの低灌木は心臓病の治療に使われる。薬効が強いので治療医の管理のもとで使用すること。
8 カバ(Kava kava コショウ族)
安全性の高いソフトな精神安定剤で熱帯林でしか成長しない。利尿薬、泌尿器系の炎症の薬や痛風、リウマチの治療にも利用。
9 リコリス(Licorice カンゾウ)
抗潰瘍ハーブ、気管支炎、アレルギー、胃炎、肝臓病の治療、免疫を強め、副腎機能を活性化する。砂糖の50倍の甘さがある。高血圧患者は使用を避ける。成長が遅く個人での栽培は難しい。
10 ミルクシスル(Milk thistle オオアザミ)
棘が多いので収穫の時には痛い思いをします。母乳不足、咳、うつ病、消化管、内臓の病気に使われる。種実は資格を持つ専門家が取り扱うこと。
11 レッドペッパー(Red pepper アカトウガラシ)
痛みを軽減し、成分のカプサイシンは医薬品にもよく見られます。12 ティーツリー(Teatree )防腐殺菌効果は抜群で広く使われています。咽喉や肺の病気、各種の痛み、女性の各種の障害、皮膚病の肌の洗浄作用もさることながら、芳香療法には無くてはならない価値をもっています。
はかり売りのハーブを買う
 自分で栽培するにしろ、量り売りのハーブを使うにしろ、困るのが品質保証されている高価なハーブに比べて有効成分がどの程度含有されているか分からない点ではないでしょうか。そこのところは、そんなに心配する必要はないでしょう。少量ずつ試してみて、様子を見ながら自分にあった量を決めればよいのです。

安全に使う方法
 心配はいりません。このレポートで使う医薬用ハーブのほとんどは摂りすぎても大丈夫なものばかりです。また特別注意のいるハーブには要所に注意書きをつけてあります。ハーブ治療をする上で注意が必要なことは貴方の使うハーブに含有する有効成分量がどれくらいかで、治療効果を発揮するハーブの使用量は違って来るということです。これはどういうことでしょうか?ハーブが持っている有効成分がなぜ同じではないのでしょうか。いくつかの理由が挙げられます。

遺伝的なもの
 ハーブの各種族の違いでその効能に遺伝的な違いがある。たとえば、ブラッドルートという植物に含まれる消毒効果がある有効成分のサンギナリンの含有度は遺伝的に違う他の植物のものと比べて10倍も違います。また、タイムという種の中でも同じ有効成分は千倍から一万倍も違うことがあるのです。

生育環境の違い
 生育環境の違いは植物の健康と活力の全てに影響を与えます。やせた土地と植物にとってストレスの大きい気候で育ったものと、理想的な環境で育った植物とでは薬効力も当然違ってきます。(驚いたことに、悪環境を与えた植物はしばしばより高い有効成分を示します。)

収穫のタイミングと方法
 同じ桃でも未熟と完熟したものの味、手触り、多汁の違いがあります。ハーブは果実のような熟し方はありませんが、その生長サイクルの間に実効成分が集中する時があります。
 チョウセンニンジンの最高の成分を含む時期は少なくとも5年以上経たないとなりません、しかし市場に品薄の時はそれより前に収穫してしまう事もありがちですが、未熟なチョウセンニンジンには最高の有効成分は期待できないのです。

乾燥
 生ハーブには最高の魅力があります。ここで生ミントと乾燥ミントの違いを考えてみるます。両方ともミントの味と香りがしますが、生葉はより芳香が強く精油成分の含有量も多いです。ハーブの葉がつみ取られた瞬間から芳香成分は徐々に発散していくのです。ハーブ専門家は種々のレシピーをドライハーブで作ります。これは一定の薬効成分量が長期間安定して使えるからです。あなたがハーブを貯蔵するときには有効成分を保持できる環境を保ってください。光、酸素、そして熱はハーブの持つ化学成分を劣化させる引き金になります。ドライハーブが長期間の貯蔵に耐える方法は気密性の高い、光を通さない黒いガラスに入れて冷暗所に置くことです。

パッケージング
 一般的に、ハーブの薬用成分を確実に入手する方法はアルコール漬け(アルコール・チンキ)かまたはグリセリンで抽出してあるものだと思われます。これらの方法だと、一年以上は使うことができるでしょう。ただし、ティーバッグや粉末状のハーブやカプセルのものだと酸化防止剤でしっかり保護してある以外はだめです。光や酸素、熱でハーブは急速にダメージを受けてしまいます。

スパイスを加える
 ハーブの量り売りを使うにしろ品質保証のハーブを使うにしろ言えることは、薬効が倍増する効果のあるすばらしいスパイスが沢山あることを知って利用しない手はありません。そのうちのいくつかはお宅の台所にあるものです。トウガラシ、ニンニク、ショウガ、ウコンはおなじみですが、その他のものには自家栽培は無理なものもありますが、以下に列挙してみました。
1 オールスパイス(Allspice ヒャクミコショウ)
クローブ、シナモン、ナツメグの芳香を持ち、消化不良に有効です。
2 カルダモン(Cardamom ショウズク)
高価なスパイスで、マイルドな興奮剤になる。
3 クローブ (Cloves チョウジ)
痛みを和らげ、防腐、防虫効果は有名。
4 ガーリック (garlic ニンニク)
ロシアンペニシリンと呼ばれている程で、刺激的な味の球根は主要な死因の病気の心臓病、ガンなどの予防に役に立ちます。
5 ジンジャー (Ginger ショウガ)
砂糖漬けは強力な吐き気予防になり、これでマッサージして関節炎の治療に使います。
6 レッドペッパー (Red pepper アカトウガラシ)
アメリカ原住民のスパイスで痛みに効きます。
7 ゴマ (Sesame)
ゴマの種子は体内での酸化防止剤、抗酸化剤や健康維持に役立つ有効化学物質の宝庫です。
8 ターメリック (Turmeric ウコン)
この黄色いスパイスは、関節炎、糖尿病の治療に絶大な効果を約束します。
このコンテンツは、ジェームス・デューク氏の著書「緑の薬局」を、日本向けに翻訳しつつ補完したものです。