ハーブとは何でしょう?

 現在では広い意味で冬に枯れる一年草を中心に銀杏やさんざしのような樹木や低灌木など、体に取り入れて薬効のある植物は全てハーブと定義づけられているようです。ここでは薬用植物すべてをハーブとしました。木でも木でなくても寒冷地産、熱帯産、おなじみの食用や雑草、料理用スパイス、樹皮や根っこ、キノコなど何でも「緑の薬局」にはおいてあります。漢方というジャンルもこのハーブの範囲に入れてしまいます。
 私たちは現代の医療システムはほぼ完璧だと信じています。少なくとも厚生省や医療関係者は、そう国民に呼びかけていますね。そしてほとんどの人は、ごく一部の医者やハーブ専門家が勧めるハーブの効果よりも処方箋で出てくる医薬品の方が良いと疑っていません。
 幸いなことにこの状況は急速に変化しているようです。最新の医薬品が触れたがらなかった分野の治療を薬用ハーブの治療で良く成果を上げているからです。
 一部漢方という分野では医薬品として市民権を得ていますが、一般的に主に米国ではハーブ治療が広がらない理由は、製薬会社の特許利益につながらないからなのです。薬剤メーカーはハーブ(植物)の薬効を分子レベルまで分析、抽出を行い化学合成技術でそれと近似の合成品を作ってしまうことの特許で利益を上げているのです。つまり、それらの新しい分子構造を特許化して、商品名をつけ、元のハーブの価格より何百倍も高い価格をつけて売り出すのです。
ハーブは良質な薬です

 製薬会社はハーブより安全で強力に効果を上げると説明しています。もちろんその強力な効果は同意出来るものです。しかし、現実にはその薬剤の効果が強すぎて元のハーブが持っていない悪い面の効果が出てしまうので使用量の管理が大変難しいのが現実なのです。
 長いハーブの歴史の中での経験上、ハーブ製品はとても良い結果を上げています。
 たとえば、しょうが(生姜)は抗ヒスタミン成分を含有し、酔い止め薬として高い効果を示します。といって、医薬品が全て悪いと言うことではなく、ハーブについての研究もより進めて行かねばならなでしょう。研究成果がでるまではどちらがよいか簡単には言えないけれど、いま国民が必ずしも最良の現代医薬品を入手しているとは言えないのではないでしょうか。
 多くの症例の場合、ハーブ療法(漢方も含めて)はより経済的です。しかも現代医薬品よりは安全で効果的なものが沢山あるのです。植物には人間にとって滋養があり燃料となり酸素補給もして、さらに薬としての薬効を持ちます。経済指向の製薬会社の作った医薬品に頼るか、緑の薬局の持つエコロジー指向に向かうかはすべてあなた次第です。
安全が一番!

 ハーブ療法だからといって危険が全くないとは言えないことを最初に申し上げておきます。ハーブの持つ薬効を享受するには、それなりの基本的な知識をもって欲しいのです。まず、身の回りにどなたか相談できるハーブ医療の専門家や薬剤師がいれば最良です。
 ルールを守れば、ハーブ療法は現代医薬品よりもより安全性が高いものです。しかし、基本的にハーブ療法であるかないかに係わらず、薬を内服しているときは常に自分の体調を見守ること。自分に合ったものでないと副作用が出たり、さらに症状が悪くなってしまうこともあります。
ハーブ療法については、原則を守ってください

1:正しい材料を入手する事。
2:怪しげなハーブは絶対に使わないこと(鮮度も含めて)。
3:山菜摘みでは、似たようなハーブでも有毒なものと見間違えやすいので特に注意。
  有毒なものとしては野生のパセリやパースニップと間違えやすいドクニンジン。
妊娠中は避けたいハーブ類

 一般的に産婦人科医が選んだ、妊娠中は避けた方がよいハーブがあります。
 ある種類のハーブには流産の危険性を高めるものがあることが知られています。西洋メギ(バーベリー)の根と樹皮、クロウメモドキ、ジュニパー、セイヨウネズ、マグワート、オショウヨモギ、ペニーロイヤルミント、ヘンルーダ、センナ、ニガヨモギ、ヨモギギク、はまず避けるべきでしょう。
 さらに、避けた方が無難なものでは、バルサム、チャービル、チャービルアンゼリカ(当帰)、メイアップル、マウンテンミントとともにあまり根拠はなさそうなものとしてイブニングプリムローズ(メマツヨイサ)、セイヨウオトギリソウ、があります。
 安全とは言ってもセロリーやパセリの類はあまり大量に食べない方がよろしいようです。カフェインと同様に自分で限度を考えて摂取したいものです。因みに専門家に言わせると妊娠期間中にカフェインを163ミリグラム、一日にコーヒー2杯を飲むと自然流産の確率が2倍に上がるという研究があるのでコーヒー飲みの女性は十分気をつけた方がよいでしょう。ご注意ついでに妊娠期間中に避けたいこととして、タバコ、アルコール、主治医が許可した薬以外の医薬品。
このコンテンツは、ジェームス・デューク氏の著書「緑の薬局」を、日本向けに翻訳しつつ補完したものです。