ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 一世紀頃のローマ時代の作家で歴史上最も古いナチュラリストでもあった大プリニウスは自分の気に入らないものに対してはあからさまに嫌悪感をあらわにしたそうです。「ダニとは最も不潔で不快に満ちる生きものである・・・」と言ったとか。
 ライム病のキャリアとして知られる鹿に寄生するマダニが身近にもあることを誰もが軽く見ているでしょう。
 メリーランドにある私のハーブ園は6エーカー(約2万4300平方メートル)の広さに約300種のハーブや灌木のたぐいと雑草がびっしりと生えています。このハーブ園は世界中から訪問者やテレビの取材陣を引きつけているようです。そして人間ではないゲスト、特に歓迎されないマダニが付いた鹿もしばしば訪問してくるのです。
 しばらく前に、この農園にあるチョウセンニンジン畑での取材で自慢のシベリアン・ジンセンを前にこのハーブの説明に3時間ほどのビデオ撮りのあと、私のふとももに何か虫の這うような感覚に反射的に手でぴしゃりと打ったんです。 ピシャリとね、でもその正体ははっきり残りませんでしたが、かすかにダニのようなものが残っていました。一晩経つと、もものその場所にぽつんと紅い斑点が出来ていました。それは成長して行き、ライム病の原因になるダニ媒体のバクテリア(ボレリア・ブルグドルフェリ)による独特の牛の目玉のような発疹になってきたのです。その次の日、目玉はだんだん目立ってきて直径8センチほどになってしまいました。それで念のためエキナセアとガーリックを摂り始めたのです。その翌日、妻のペギーは私を無理やりHMO(米国の会員制健康医療団体)へ連れて行ったのです。ダニはもう無かったので、バクテリアのテストが出来ず医者達は私がライム病かどうか診断できなかったのです。でも、身体の兆候はすべてその方向へ向いていたのです。担当医は万一の場合を考えてドキシサイクリン(ビブラマイシン)や殺菌のための抗生物質の処方を勧めたのです。その処方をもらいはしましたが、気持ちは揺れていました。ドキシサイクリンは肌が太陽に敏感になり、発疹の引き金になる薬なのです。しかし、しばらくは太陽を避けていることは出来そうにありません、すでにほかのテレビ局の取材が私のハーブ園へ来ることに決まっていたのです。どちらを選択するか悩みました。
 抗生物質を飲むことにして、ひなたに出る方を取りました。それにたとえばエキナセアのようなハーブの代替療法で自己免疫システムを増強してボレリア菌と闘い、加えて抗生物質効果のある市販のガーリックの錠剤でバクテリアをたたくことも選択できました。ないしは、従来の方法と生薬との合わせる方法もあります。精神的な葛藤の末、次のような組み合わせのアプローチに決めました:それはドキシサイクリンに加えて生ガーリックを1日1200ミリグラム相当のガーリックカプセルを摂るのです。それに加えてエキナセアを1日6カプセル、これは1カプセルに免疫力増強のエキナセアの根が450ミリグラム入りです、あとニンジンとトマトのジュースも飲むようにします。この2種の野菜はビタミンA族のカロチノイドが豊富で、多くの研究でカロチノイドが感染症の抑制に有効なことが知られているものです。もちろん新鮮なトマトと人参をジューサーに入れるときには生のニンニクをたっぷり加えたものを飲むのです。(濃縮還元のジュースはダメです。これは生ジュールを高温で加熱濃縮したものを水で薄めたもので、含まれる栄養素も生ジュースには及びません。)
 とうとう3週間のナッシュビル(訳者注:米国の音楽都市でも有名)でのドキシサイクリン療法は終わりました。牛の目玉のできものは消えて無くなり、ライム病の兆候は示さなかったのです。果たして私の症状にガーリックやドキシサイクリンが必要だったかどうかは今だにわかりません。でも、ライム病について回る後遺症の関節炎の気遣いはなかったのは確かです。
 コネチカット州ライムと言う町に因む名前の、牛の目玉状の炎症のライム病が最初に認定されたのは20年ほど前、動物寄生のバクテリアや伝染因子が原因の人感染症という意味の人獣伝染病なのです。比較的新しいこの病気はなぜ現れたのでしょうか?不動産開発会社が非難されるべきのようです。都市近郊の野生生物エリアまでが住宅供給の為に開発され森や林が破壊されていくと、鹿と人間とが接近するようになります。肉食のボブキャット(オオヤマネコ)の様な捕食動物が減ると鹿の生息数が増えてくる、餌不足になった鹿は今まで以上に人間界の庭や農園に近づくことが増えたのです。
 ライム病は一般的な特徴として牛の目玉状の皮膚発疹を起こしますが、発疹が現れないケースも10パーセントほどあるのです。数週間から数ヶ月間、バクテリアの侵入を受けてそのまま放置すると70パーセントの確率で体内のその他の器官、特に中枢神経系や慢性関節炎へと影響を及ぼす可能性が出てきます。
 現在、主なライム病発生地以外の地域では、住人の1から2パーセントがボレリア菌への抗体が見られますが、これはその割合の人たちがウィルスに曝されていることを意味しているのです。それに対してライム病が風土病の地域では、その指数は10パーセントにもなっています。ライム病について一般に知れ渡ることで、医者が原因不明の症状の患者にライム病という病名がつけられがちになります。医者は患者に現れる初期症状の発疹、頭痛、発熱、吐き気や筋肉痛をライム病に結びつけてしまいますが、これらの症状はほかの多くの病気にも共通に現れるのですがね。1995年米国医学協会の調査では、ライム病と診断された人々の半分しか実際に罹病していなかったとのことです。もしも事実ならば、米国では毎年10,000 人の患者が発生すると言いふらされている内容はたった5,000人の感染症患者しか居ないことになります。
 私は本当にライム病に罹ったのでしょうか?私としてはそう信じていますが、上記の確かな統計が私を惑わせているのです。
ライム病のための「緑の薬局」

 一つ私が信じているのは、自分の治療を従来の現代医学的治療とハーブ治療を結び合わせたことを決断したことは合理的だったということです。あなたは医者と共に話し合って、罹った病気への治療を医薬品だけのものに加えて有益なハーブがいくつもあることを考慮の中にいれてください。そしてガーリックとマウンテン・ミントの二つはこの病気の予防に有効で、それは天然のダニ予防剤になるからです。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★★ エキナセア(Echinacea/Echinacea エキナケア)
 インディアナ州西ラファイエットにあるプルド大学の生薬学名誉教授のヴァロ・タイラー博士は率直にエキナセアが有効だと公表しており、このハーブについての広い研究は免疫力増進効果とバクテリア性の感染症への体内抑制力の増強という点では右に出るものはないと言っています。
 一世紀ほど前、米国内でエキナセアの根茎を一日に1グラム(ティースプーン半分) ほど服用することが流行ったことがあります。ライム病の治療の間、私は4グラム(ティースプーン2杯)を摂っていました。
 エキナセアはお茶、チンキ、カプセルで入手できます。ジュースやお茶にチンキ液を1~2滴加えるとよいでしょう。(エキナセアは口にしたときは一時的ですがしびれる感覚が残りますが、これは無害なものです。)私のあのライム感染症らしい時の治療にはカプセルを使って短時間に大量に摂りました。
★★★ ガーリック(Garlic /Allium sativum ニンニク)
 ルイ・パスツールはガーリックジュースには抗バクテリアの効果があることを最初に言い出した人です。最近の研究では、抗生物質に耐性を持ったバクテリアでさえもガーリックは有効であることがわかってきたのですが、ボレリア菌がドキシサイクリンに耐性を持つかどうかは疑わしいと私は思っています。オランダの研究では、ガーリックから最高の抗生物質効果を得るには一日に標準的なサイズのガーリックを5から15かけ摂取することが必要だと言うことです。生のガーリックをそんなに摂るのは難しいですが、ニンジンジュースに加えれば大丈夫でしたよ。そんなにたくさんのガーリックなんて食べられないと絶望しないでも大丈夫。量が少なくて感染症を根絶されられなくても、ほかの種類のハーブと抗生物質剤と共に使うことで十分効果を得ることができるのです。
★★★ マウンテン・ミント(Mountain mint/Pycnanthemum muticum ハッカ)
 我がハーブ園の歓迎すべき雑草、この植物は夏の暑い毎日の作業に皮膚を守るダニの予防剤になってくれるんです。外で過ごすときはミント葉を揉みつぶしてその汁を足などにすり込みます、このジュースには虫やダニなどの防虫効果のあるプレゴンという成分が大変豊富なのです。しかしあのダニに刺された運命的な午後に限って「テレビ取材だからすぐに終わるだろう」と、このハーブを使っていなかったのです。もう二度と同じミスはしないでしょう。(しかしながら、あなたが妊娠中の時はこのハーブを皮膚に使うことは避けるのが最良でしょう。)
★★ リコリス(Licorice /Glycyrrhiza glabra カンゾウ)
 かつてハーブの中で最も殺菌力のある成分を含んでいるものを私のデータベースの中から調べたことがあります。その答えはリコリスの乾燥ハーブには33パーセントの殺菌効果のある成分を含有していたのです。中国人が結核のようなバクテリア系の感染症の治療に何世紀もの間リコリスを使用していたのは小さな驚きでした。私もときどき抗ウィルス効果のあるリコリスの根をウィルスとバクテリアの両方の感染症の治療に使うんです。
 リコリスから見つかったその成分はサポニンという名で知られており、含まれるその他の抗生物質成分と併せて有効性はさらに増大するのです。その他のハーブで殺菌成分の豊富なものには、豊富な順にタイム、ホップ、オレガノやローズマリーなどが挙げられます。
 甘い味のリコリスのエキスをたらしてすてきなお茶を作って楽しんでください。