ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 その人はAIDS感染症患者で生存の見込みはなく、生きることに必死の人でした。身体は衰弱し、財産も使い果たし、彼の友人は私のところへ来て「何かしてあげられることはないでしょうか?」と聞くのです。現代医学のできる範囲の治療はすべて試みたのですが、そのAIDS患者のT細胞は減り続けていきます。T細胞は免疫システムの一翼を担っているものです。人がAIDSウイルスを持つと、T細胞はやがて全滅してしまい、その人はどんな種類の感染症にも耐性がなくなってしまうのです。
 私はその友人にごく一般的な答えとして、「私は植物学者で医者ではないので、医薬品を処方することは出来ないのです。」「でもね、ジム」懇願する友人はこう言いました。「もしも君がAIDSを罹ったらどうする?君の知っているハーブや薬草で何か出来るのじゃないかな?」
ハーブからのアプローチ

 実際に実効のあるものもいくつかあり、彼と共に研究していたのです。そこでもしも私がAIDSだったら、まず特製茶を作ります。それにはセントジョンズワート(St.-John's-wort)、オレガノ、セルフヒール(self-heal ナツガレソウ)、ヒソップ(ヤナギハッカ)と甘み付けにリコリス(カンゾウ)を使ったもになるでしょう。さらに免疫増強としての働きが証明されているものとして、エキナセアとあまり広く推薦されてはいないけれどアストラガルス(キバナオウギ)も取り入れるでしょう。最後に、ガーリックとオニオンをどんどん食べるようにします。
 そのAIDSの男性が私が教えてあげた方法のどれを試したかは知りませんし、以後彼の友達の話は再び聞くことはありませんでした。ことによると彼と彼の「友人」は同一人物だったのかもしれません。もちろんハーブでAIDSを治すことは出来ません。
 HIV(ヒト免疫不全ウィルス)に感染した人は誰でも、医者の監督下できちっとした治療を受けなければなりません。近年の抗ウィルス薬を配合した治療で体内のHIVウィルスの数を減らし、余命を延長することが出来るようになってきています。そして、日和見感染症のいくつか、特にAIDS関連の肺感染(肺炎)は予防も治療も可能になってきています。しかし、専門医によるマニアル化した治療法に加えて、私が提案したいのはHIVポジティブの人たちに是非、自己免疫力増強の効果の定評のあるハーブを試してみて欲しいと言うことです。それは必ずや治療の一助になることと信じているのです。
 でも、あなたに知っておいて欲しいのは、一部の研究者が言っている事ですが、体内の免疫システムを増強することはまた、HIVのそれに対する攻撃も凶暴性を増す事にもなると言うのです。この説は現在知られている知識をベースにすると、それほどの説得性があるとはいえないのですが…。個人的には私は栄養学と免疫刺激の方法で行きたいし、特にもしもT細胞の数値が良い値の良いときにはなおさらと考えています。
 HIV感染症の患者さんには、最新の研究に遅れず、最新で最良の発見を治療に取り入れるように前向きに生きるように勇気づけて行きたいと思うのです。
訳者注:日和見(ひよりみ)感染:健康時には問題とはならない、人間の体内(口、鼻、腸管,膣内など)や皮膚の表面に付着したり生息したりしている微生物(弱毒菌、平素無害菌)が、何らかの原因による免疫力(感染抵抗力)低下に乗じて病原性を発揮し、感染するもの。(難治性感染症)ともいう。肺真菌症や放線菌症が代表的な病気。
HIV感染症のための「緑の薬局」

 試してみたいと思われるハーブがあればかかりつけの医者に相談してください!ここではその薬効が有効の可能性のある数種のハーブをご紹介しましょう。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★★リコリス(Licorice/ Glycyrrhiza glabra カンゾウ)
 リコリス茶はたくさんの種類のウィルスに対して有効な働きをします。リコリスの成分のグリチルリチンの活性作用は、ウィルスの宿主の細胞へ浸透する能力やウィルスの遺伝形質の変異体を作るなどのウィルスの複製増殖に関わる複雑なプロセスのかなりの部分を抑止することが出来ると言われます。つまりウィルスに対する抵抗力を高める働きも認められて来ているのです。
 ある研究で、試験管の中の出来事ですが、グリチルリチンがHIVの成長を阻止する兆候があったというのです。いくつかの臨床的な試みでもこのことは興味をそそる否定できない結果を得ることが認められています。HIVの陽性だけれど、AIDSの兆候は見られない人たちでの研究で、日本の研究者たちはグリチルリチンがHIVに関連する症状の発症を遅らせると主張しているのです。他のレポートによると、血液製剤からHIV感染をしてしまった血友病患者さんはこのグリチルリチンを1ヶ月以上投与されています。その期間の間に、血液中のウィルス総数が相当減少するのです、このことから示唆される事はハーブにある成分が体内のHIVの複製増殖を抑制している可能性があると言うことです。
 最後に、グリチルリチンには抗ウィルス薬のAZT(ジドブジン)の副作用(頭痛、貧血、胃腸障害、肝炎、筋肉炎など)を軽減させる様なのです。もしも私がHIVに感染してしまったら、私が飲んでいる特製ハーブ茶1リットルに対して約30グラムのリコリスの根を加えるか、このリコリスの根をガムのように噛んでみる事にします。市販品の使えるものがあれば、一日に数回使用するのも良いかもしれません。
 リコリスやそのエキスは通常の使用を適量(一日カップ3杯くらいまで)使っていれば安全なものですが、多量の服用を長期間続けていると頭痛、無気力、カリウムの過剰損失そして高血圧を誘発することがあります。
★★★オレガノ(Oregano/Origanum vulgare ハナハッカ、ワイルド・マジョラム)とセルフヒール(Self heal/Pranella vulgaris ウツボグサ)
 多くのAIDS患者の死亡の原因は基本的に体内酸化のストレスとして知られているプロセスによるものだと、ニューヨークAIDS研究所のハワード・グリーンスパン博士は述べています。この種のストレスは、フリーラジカルとして知られる有害な酸素分子による体内細胞への著しいダメージの結果なのです。グリーンスパン博士は抗酸化物質をより多く摂取すればHIV陽性患者の免疫機能を保持することが出来ると提言しています。(抗酸化物質というものはダメージを与える力を中和することでフリーラジカルをぬぐい取ってしまうものです)彼の推論には説得力がありますね。
もしもわたしがHIVに罹ったら、セルフヒールとオレガノを使った抗酸化作用を持つお茶を積極的に飲みますが、この二種類のハーブは60年間私が研究してきた中で最も抗酸化作用が高いものでした。このお茶をもっと良くするには甘味料のリコリスを加えれば風味が改善された上にグリチルリチンの利益も得られます。
★★ セントジョンズワート(St.-John's-wort' /Hypericum perforatum セイヨウオトギリソウ、ヒベリコン)
 このハーブにはhypericinとpseudohypericinという抗ウィルス効果のある成分が含有しています。この成分は、試験管の中のものですが、HIVウィルスに対して活性効果を示しています。実際、このhypericinといくつかの誘導体の混合成分が、AIDSにかかった人たちがぶつかるたくさんの日和見感染症の内の一つ、サイトメガロウィルス感染症(巨細胞性封入体病)の治療薬としてパテントを取得しているのです。研究者たちはこの二つの成分のHIVへの治療上の価値を充分に理解する前から臨床的にどんどん使っているらしいのです。試験管と動物実験では、pseudohypericinはHIVウィルスの分散が縮小を示しています。反面、AIDS患者での数例の観察結果ではhypericinの評価のデータはあやふやな部分があり確定できず、まだ成り行きを見守って行きたいところです。そうは言っても、セントジョンワートを試すことは自由に出来るのですが、それはあなた次第です。
 私だったらこのハーブの全草から作った濃縮液を日に数回、ジュースに10滴から30滴落として飲みます。
 このセントジョンズワートにはMAO(モノアミンオキシダーゼ:鬱を起こす酵素)の作用を阻害する成分が含有していることでも有名です。MAO抑制剤かこのハーブを摂取している人たちは原則的に避けなければならない食べ物(アルコール飲料やくん製、漬け物などの食物)や医薬品として風邪や花粉症、アンフェタミン(覚醒剤)や麻薬、トリプトファン、チロシンなどがあります。更に、妊娠している方はセントジョンズワートは使ってはいけません、そして摂取している人は過度の日光浴は避けるべきです、これはこのハーブには皮膚を太陽光に対して過敏にさせるからです。
★★ アロエ(Aloe/Aloe vela アロエ)
 アロエの抽出物のエースマンナンには免疫活性成分が発見され、AIDS治療への有効性が言われています。
(訳者注:エースマンナン(acemannan)はアロエ・ベラの全草ジュースをフリーズドライにして粉末にしたもので、エースマンナンは全米命名評議会が付けた名前です。)
 試験管でのことですが、エースマンナンはHIVに対して活性があることが発見されました。このエースマンナンにはまた抗エイズ剤のAZT(アジドチミジン)の服用量を減らすことができ、このAZTのもつ副作用をも押さえ込む効果があるのです。エースマンナンは1回服用分の適量は250ミリグラム、一日4回摂取します。犬やラットへの大量服用した副作用試験では、一日体重1キロ当たり千ミリグラムを投与しても全く毒性は見られませんでした。アメリカAIDS研究基金によると、“人間による臨床試験ではどんな毒性効果も見つからなかった”ということでした。その試験ではアロエジュースを1リットル飲んだとのこと、これはエースマンナン1,600ミリグラムに相当します。私個人的には毎日アロエジュースを1リットル飲み干すことを考えると身震いが止まりません。でも、もしもAIDS患者だったらちょっと違うかも知れないですね。
 アロエジュースはほとんどどこの健康食品店でも買うことが出来ますが、あなた自身で作らない方が良いかもしれません。このジュースは適切な方法で作らないと非常に強力な通じ薬の効果が出てしまうのです。
★★アストラガルス(Astragalus/ Astragalusオウギ、キバナオウギなど各種)
 中国ではオウギで知られていて、免疫増強のハーブといえばアメリカではエキナセア、アジアではこのハーブが挙げられます。アストラガルスの抗HIV効果はまだ研究中ですが、その安全性には定評があります。
 私がHIV患者だったら、このハーブの広範囲なウィルスに対して抗ウィルス効果があるという点には疑いながらも点数を与えてもいいなと思います。
 ある研究で、重症のウィルス感染者10人の体内ナチュラルキラー細胞(NKCs)は低レベルであることを示していました。NKCsは病気の原因になる微生物を攻撃する特別な白血球のことです。研究に参加した患者はアストラガルスのエキスを四ヶ月にわたって注射されました。このエキスの注射を受けなかった人と比較すると、彼らのNKC活性度は実質的に上昇、免疫システムの各成分は活気づいて症状の改善が見られたのです。私は経口投薬でも同様の効果が得られると信じています。
訳者注:中国では薬用茶ペイチー茶として販売されています。日本では使いやすいティーバッグ入りの製品もあり、老化や癌、成人病の一因とも言われる活性酸素を中和するSOD(活性酸素消去酵素)様物質のタンニンやケルセチンをはじめ銅、亜鉛、セレンなど抗酸化酵素の体内製造に必要なミネラルも豊富です。薬効はいろいろあり、ここでは書ききれません。
★★ブラック・アイ・スーザン(Black-eyed Susan/Rudbeckia ルドベキア、オオハンゴンソウ、各種あり)
 民間に広く使われているハーブで、私はこのブラック・アイ・スーザンがメリーランド州の州花だとばかり思っていたのですが、エキナセア同様に強力な自己免疫力の増強に役立つと感じるようになりました。私のこのカンは研究で確認されたようで、エキナセアのエキスと同様このハーブのエキスも免疫力の増強に役立つようです。使い方はカップ一杯の熱湯にティースプーン5杯のハーブを入れてお茶を作り、一日に2,3杯飲みます。
★★ホーリー・シスル(Blessed thistle/Cnicus benedictus サントリソウ、ブレスド・シスル)
 聞くところによるとこのハーブの成分には抗HIVの薬効があるとのこと。服用法は熱湯を注いだカップにこのハーブをティースプーン5杯を浸してお茶を作り一日2,3杯飲みます。
★★バードック(Burdock/Arctium lappa ゴボウ)
 「ローレンスの天然素材展望」という本によると、バードックのジュースかエキスには抗HIV活性が試験管の中で見られたとあります。そんなに古い話ではないのですが、食卓でゴボー・オクラ料理を味わったことがあります。(ゴボーはバードックの日本での呼び名です)その料理のレシピーは次の通り。
ゴボウ・オクラスープ
 この舌を刺激する野菜料理に使われる材料は全部ウィルスと闘う免疫システムを増強する成分を含んでいて、研究者たちは特にバードックにはHIVと闘う特別の性質があることを発見しています。
2人分の材料
・水3カップ
・ゴボウの刻んだもの1カップ
・タマネギ1個刻んだもの
・ニンニク5ふさみじんにしたもの
・新鮮なオクラをサイコロ状にして半カップ
・塩適量
・コショウ少々
・ターメリック(ウコン)少々
大きなシチュー鍋を強火で熱し、水、ゴボウ、タマネギ、ニンニク、オクラを入れて煮る。火を落とし野菜が柔らかくなるまでとろ火。好みの味付けを塩、コショウ、ターメリックでつけて出来上がり。
★★エキナセア(Echinacea/Echinacea angustifolia エキナケア、各種類あり)
 ムラサキ・コーンフラワーで良く知られていて、グレート・プレーンズ(ロッキー山脈東方の大平原地帯)に自生するデージーに似た自己免疫力増強の最良のハーブです。活性成分はカフェイン酸、チコリ酸、エキナシンなどで、これらは体内に持つ抗ウィルス成分のインターフェロンに似た抗ウィルス効果を持ちます。最近の症例から、チコリ酸はこの病気に対する治療薬として大きい可能性があると思われています。エキナセアはまた、プロパージンとして知られているヒーリング成分の体内レベルを上昇させます。
(訳者注:プロパージンは殺菌力、赤血球溶解力のある血清蛋白で、プロパージン欠損症という免疫障害を起こすことで知られる。)
 プロパージンはあなたに押し寄せた感染菌と闘う白血球の感染闘争力を助けるのです。
 エキナセアの種類の中で次の良質の三種類の中でも多少薬効に差があるようです。学名でE. angusufolia, E. pallida and E. purpureaの三種。「薬用ハーブ」の編集者でハーブ専門家のポール・バーグナー氏はこの三種類をミックスして使うと良いと提唱しています。それも良い方法ですね。
 もし私が使うとしたら、このドライハーブをカップ1杯の水当たりティースプーン5杯を煎じて一日2,3回に分けて飲みます。(訳者注:私もエキナセアを愛用していますが、使用方法は水1リットル当たり20グラムのエキナセアのドライハーブを水が半分になるまで弱火で煎じ出します。これを一日数回に分けて飲みます。こじらせた風邪や鼻炎などに大変良い効果があります。来年の花粉症シーズンにも試してみます。)ほとんどの人にはこんな方法は面倒くさいでしょうから、エキナセアのチンキ液をジュースに垂らして一日数回服用しても良いです。(エキナセアを服用すると一時的に舌にしびれるような刺激を感じますが、害はありません。)
 ほとんどのハーブ専門家はエキナセアを毎日常用摂取することには異を唱えています。常用していくと体内免疫システムがついにそのハーブに慣れてしまい、ハーブの免疫活性効果が終わってしまうのです。上手な利用法は、エキナセアの服用を1週間から2週間の間続けて、少なくとも数日の間は服用を止めるやり方を取ります。
★★ガーリック(Garlic/Allium sativum ニンニク)
 臨床的な試みではこのガーリックがAIDSによるヘルペスやカリニ肺炎を含む幾種類かの日和見感染症に対抗して効果があることを明らかにしています。研究者たちは又、ガーリックに含む成分のアリシンから生成する成分の“ajoene”が体内のHIVウィルスの分散増殖を抑制する証拠を発見したというのです。
 毎日ガーリックの房を3個から5個食べることで、日和見感染症の予防の効果を得られると、オレゴン州の免疫増進プロジェクトのリーダーで、「ハーブによるAIDS療法」の著者でもあるS.ダルマナンダ博士が述べています。
★★ ヒソップ(Hyssop/Hyssopus officinalis ヤナギハッカ)
 ヒソップ茶にはMAR-10と呼ばれる成分を含みます。試験管での研究ですが、この成分はHIVの分裂増殖を抑制する働きがあり、しかも体内の健康な細胞への害はないのです。この効果を発見した研究者は、ヒソップがHIV感染患者の治療に有用ではないかと推測しているとのことです。これを確信するのはまだまだ時期尚早ですが、このヒソップを大量に服用しても有害だという報告は聞いたことがありません。
 私がHIV陽性だったら、いつも飲んでいるハーブ茶にこのヒソップをティースプーン数杯を加えて飲むでしょう。
★★オニオン(Onion/Allium cepa タマネギ)
 タマネギは私たちの最も身近で最良の抗酸化作用を持つケルセチン(クエルセチン:ポリフェノールの一種で黄色の色素)の供給源で、タマネギの黄皮に集中して含有しています。オニオンにはまた、ガーリックと大変深い関連があり、同様の抗ウィルス効果を発揮するのです。
 私がHIV患者だったら、文句なくオニオンをどっさりと食べることにします。スープやシチューには必ずオニオンをつかい、黄皮ももちろんケルセチンを有効に使いたいので捨てませんね。(黄皮は食べられないので、給仕する前に皮だけ取り除きます)
★★ペア(Pear/Pyrus conalmnis ナシ、セイヨウナシ)
 私がHIV感染者だったら、ペアを一日一個は食べます。この果実はカフェインとクロロゲン酸(chlorogenic acids)のとても良い供給源なのです。カフェイン酸は免役増強剤になるし、研究者がこのクロロゲン酸が抗HIV活性を持つことを発見したのです。(これより少量ですがリンゴにも含有することが知られています)
★エルダーベリー(Elderberry/Sambucus nigra セイヨウニワトコ)
 エルダーベリーには古くからウィルス感染症の治療に使われてきて、HIVの治療への研究が進んでいます。私にはその可能性があると感じているのです。もしも私がHIV患者だったら、もっともっとたくさんのエルダーベリーを食べます。
 エルダーベリーはアメリカ国内でよく見られる灌木性の植物で、そのフルーツはジャムやゼリーに加工されて、健康に役立つことから“田舎の薬棚”と呼ばれヨーロッパの民話にも多く登場します。
★イブニングプリムローズ(Evening primrose/Oenothera biennis メマツヨイグサ)
 この植物の種子から搾油したオイル(EPO)にはガンマリノレン酸(GLA)がとても豊富に含まれています。タンザニアでの研究では、HIV陽性の感染者の生存期間がこのGLAとダイエットにも効果のあるオメガ3系脂肪酸として知られる有効なオイルを含有するEPOを投与することで2倍以上に延命したと言うことでした。
 GLA(ガンマリノレン酸)は4種の植物から手に入れることが出来ます:イブニング・プリムローズ、ボラージ(ルリチシャ)、小粒ホシブドウ、ホップの4種です。ほとんどの人は一日2から4カプセル(ティースプーン約1杯)を摂取しているようです。
 私がどの様に使っているか、ですって?私は、メマツヨイグサの種子を臼でひいてトウモロコシパンかスープに加えています。
 魚はオメガ3系オイルの最良の食物ですが、亜麻仁、パースレーン、バタグルミやクルミなどの植物からも同様に取ることが出来ます。
★アイスランドモス(Iceland moss/Cetraria islandica アイスランドゴケ)
 イリノイ大学の科学者たちが見つけたアイスランドモスから分離した成分がHIVの増殖に必要な酵素を抑制することがわかりました。米国の食品医薬品局により承認されたAZT(抗エイズ薬)や他の三種の医薬品も同様の働きを持ちますが、まだその副作用の問題とウィルスの抑制効果は完全ではないようです。
 他方、モスの組成成分には研究所の段階ですが、細胞に対して無毒性が認められているのです。これは安全な食べる医薬品としてスープやサラダに加えない手はないと感じているのです。
★果実と野菜
 この章で述べてきたたくさんのハーブに加えて、栄養のバランスとたくさんの種類のフルーツや野菜を常食することに特に注意を払いましょう。バークレーのカリフォルニア大学での研究では、よりたくさんのフルーツと野菜をたべたHIV陽性の患者では、日和見感染症の発症までの期間がより長くなることが明らかになっています。
★豆科植物の根こぶ(legume nodules)
 もしも私がAZT(抗エイズ薬)を飲んでいたら、少々の“legume nodules”(豆科植物の根こぶ)というほとんどの豆類の根に沿って着いた小さなバクテリアの“カプセル”状のコブを少量、併せて食べることでしょう。この“legume nodules”はへム鉄と呼ばれる成分で野菜では最高の含有を報告されています。研究ではヘムがAZTの抗HIV活性を増進する効果を示すのです。この“legume nodules”が売られているのを見たことがありませんが、私の農園には豆類をたくさん植え付けしているので、いつでも根っこを引っこ抜いてカプセル状の根こぶを手に入れることが出来るのです。この根こぶは、どうも味が良くないのです。いくら鉄の豊富な食べ物といってもこれをたくさん摂取するにはつらすぎる天然療法でしょう。もちろん、医者にあなたの鉄分摂取量が充分だと言われたのならば、こんな方法は採る必要はありませんよ。
訳者注:ヘム鉄---タンパク質と結びついた赤血球中の鉄をヘム鉄と呼ばれる。ヘム鉄は非ヘム鉄に比べ、しゅう酸や炭酸などによって吸収を阻害されることが少なく腸内での吸収効率が高い。欧米では血液由来の感染症を未然に防ぐという目的もあって、鶏卵から抽出した「タンパク鉄」が市場に出てきた。
★ビタミンとミネラル
 たくさんの研究で、免疫システムを増強するこれらの栄養素を摂っていると治療薬によっては効果が上昇するのでAIDS患者の寿命が延びる事が言われています。ビタミンC、E、ビタミンAに転換されるベータカロチンやミネラルのセレンなどの抗酸化物質は特にお勧めです。
 セレンはブラジルナッツに豊富に含有、他の栄養素もフルーツ、野菜、ナッツや全粒穀物に見ることができます。私個人的にはサプリメントよりも食べ物の方が好きですが、必要な栄養素はもちろん良質のサプリメントからでも摂ることが可能です。私がHIV患者だったら、必ず管理栄養師に相談しながら食生活を設計していきます。