ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 最近、車のバンパーにこんなステッカーを貼っているのを見たんです。
 「警告!私はPMS患者でこの車には銃を載せています。」
 多分これは女性たちが車を運転しながらFDA(米国食品医薬品局)に圧力をかけるためのヒステリックな行動じゃないかと思われる節があるんです。というのはFDAがPMS(月経前期症候群)の過剰刺激反応性などの諸症状の改善にイブニングプリムローズオイル(EPO)の有効性を認めるのを長い間渋ってきたからです。
 もちろん私は植物学者で医者ではないので医薬品の処方特に婦人科の分野には言及しづらい所があるんです。でも、私の持っているプリムローズオイルの知識と経験から、私の娘や多くの女性にEPOをお勧めしてきたのです。以前からPMS患者の女性にはこの植物がアメリカインディアンの食用植物で日常食べたり、種子からオイルを作って来たことを教えてきました。
 PMSの症状には色々あって、女性が"生理"間近になると不安感、むくみ、胸部過敏、神経過敏、むら気、体重増加など諸症状が見られます。ほとんどの研究者はこの症状が生理前期に女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)の体内レベルが変化することが原因で現れると言っています。エストロゲンのレベルが高くなるとPMSのリスクが増加すると主張する研究者もいるようです。大まかに見積ると、月経年齢女性の25%から50%が何らかのPMSの症状を体験し、8%から15%の方がとくにひどい症状を経験されているようです。
月経前期症候群=PMS のための「緑の処方箋」
 
 幸いPMSの諸症状に効果のあるよく効くハーブがあります。その中でもたとえばイブニングプリムローズ(メマツヨイグサ)の種子オイルには諸症状の軽減に目立った効果があるものだと言われています。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★★ チェストベリー(Chasteberry/Vitex agnus-castus ニンジンボク)
 この灌木性落葉樹は芳香のある葉や花を持ち、小さく香りの良い種子をつけ、ギリシャローマ時代から女性の生理障害に使われてきました。
 研究者はチェストベリーの種子がプロゲストロン(黄体ホルモン)の分泌を促す効果を持ち、PMSを和らげることを発見したのです。女性の毎月のサイクルに生じる各種ホルモンのバランスをとる手助けをする、つまり黄体形成ホルモンの生産を増やし、逆に卵胞刺激ホルモンの放出を制限する働きをするのです。この意味はエストロゲンとプロゲストロンの生成割合を変える役目をし、その結果PMSを悪化させる原因のエストロゲンを減少させる事になるのです。ただし、PMSにより激しい「ゆううつ状態」になる女性はこのチェストベリーを避けるように言われています。ある研究では「うつ」を伴うPMSはプロゲステロンの過多が原因といわれ、チェストベリーにはプロゲステロンのレベルを上げる効果があるのです。でも、ほとんどの女性にとってチェストベリーは良い効果を得られるようです。
 約一年をかけた研究で、PMSの患者さんを二群に分けて、片方にチェストベリーの抽出エキスを一日175ミリグラム、他方の群にビタミンBを200ミリグラム、毎日定期的に摂らせてPMSの改善効果を見ました。チェストベリーの群の方が明らかにビタミン6群の方よりも効果が優れているとの結果でした。
 少なくとも、ドイツではチェストベリーが、PMSが原因の生理の時の不快感や乳房の張りの治療薬として公認されています。アメリカ国内では生のチェストベリーでもその抽出エキスでも、近所のハーブショップで手に入ります。
★★★ アンゼリカ(Chinese angelica/Angelica sinensi トウキ)
 中国の漢方薬として最も重要なハーブと言われ、基本的にPMSや生理痛の治療のための女性向けの改善薬として使われています。
 PMSの改善のために多くの女性たちがこのカプセルを日に二回、2カプセルづつ摂っているそうです。ただし、妊娠している女性はアンゼリカは使ってはいけません。
★★★ イブニング・プリムローズ(Evening primrose/Oenothera biennisメマツヨイグサ)
 その昔、アメリカインディアンの女性は月経にまつわる病気にイブニングプリムローズの種子を噛んでいました。EPO(イブニングプリムローズ・オイル)はイギリスでPMSの治療薬として認可されています。私はPMSの治療に特にEPOの肩を持つ訳ではないのですが、次の話が広まっているようなのです。
 先だってコスタリカへエコツアーに行った時のことです、二人の女性薬剤師の会話を耳にしてしまいました。もちろん相手は気が付いていません。片方の女性が「PMSの症状がないうちはEPOのカプセルを毎日1個づつ飲んでいて、生理が始まると終わるまで4個に増やすの」と言っているのが聞こえます。彼女はこれを何年も続けているようで、彼女の仕事場で働く同僚の女性5人にも勧めて同じ事をやっているようでした。「私たち6人はね・・」と続けて「みんなすごく長く一緒に仕事をしていて、気が付いたら生理の周期もみんな同じになってしまったの」とのこと。私にはもしイブニングプリムローズ・オイル(EPO)がなかったら毎月生理の周期に彼女たちの職場でどんなことが起こるのか考えるだけでも身震いがするようでした。世界中で薬用ハーブについて講演をしてきて、皆さんにこのEPOについてお話しするのは心楽しいことでした。
 ある講演のあと、とある女性が私に向かって誇らしげに「私は何年もの間PMSがつらいのでEPOを飲みはじめて、本当に症状が軽くなって助かっているんですよ」と言い出しました。突然彼女がひそひそ声になって、自分がFDA(米国食品医薬品局)で働いていて、「じつはPMSで悩んでいる何百万人の女性に有効なこの治療法の認可の申請が来るたびに"否認"する立場にいるんです」と話し始めたのです。
 女性のためにEPOを承認してコマーシャルベースで使えるようにすべきだと私は明言します。私の不満は、FDAがPMSの治療に非常に役に立つ事をこの産物の「ラベルに表示」することを法律で禁止していることなんです。FDAはEPOが有害ではないことを知るべきです。私が会った女性だけでなく、FDAの中にはPMS症状を和らげる事を知っている人が大勢いるはずなんです。しかし、FDAには絶対に受け付けない理由があるのです、すでにイギリスでその安全性と有効性の研究成果が出ているとしてもです。FDAでの薬の認可には米国内の製薬会社による研究・臨床試験の提出が必要になっているのです。しかし、製薬会社がEPOを新薬として登録するには500万ドル以上の経費をかけてその安全性と有効性を証明しなければなりません。誰が、いつでもどこでも手にはいるようなEPOのようなありきたりの植物油を五百万ドルもかけて薬として認可を受けるでしょうか?
 私の住むメリーランドの付近には、長い冬中イブニングプリムローズの種がタダでいくらでも収穫できるのです。2時間の外出で、1ポンドほどの収穫が出来た時もあります。あなたが自分で収穫するにしろ自然食品店か薬局でEPOを買うにしろPMSの治療のためにEPOを使うのを止める人は誰もいないのです。
★★ スティンギングネットル(Stinging nettle/Urtica dioica セイヨウイラクサ)
 これは伝統的な肝臓の強壮剤として推奨されていて、体内から全ての種類の毒素を取り除きます。肝臓の働きが鈍ると、エストロゲンが徐々に高レベルになっていき、これはPMSを悪化させます。
 このハーブにはむくみや乳房の張りを鎮める効果もあります。このイラクサと次の項のゴボウを同量にしてお茶にして服用することをお勧めします。
★ バードック(Burdock/Arctium lappa ゴボウ)
 バードックもまた伝統的な肝臓強壮剤で、PMSの興奮症を和らげ、肝臓にもマイルドな快復効果を持ちます。バードックは又、マイルドな利尿剤にもなり、PMSによるむくみや乳房の張りにを和らげることから体内の循環器系の改善に関係するようです。
★ ラズベリー(Raspberry/Rubus idaeus エゾキイチゴ/ヨーロッパキイチゴ)
 ラズベリーは妊娠時に子宮と骨盤の筋肉を強くする強壮剤として大変良く知られていると同時に、ハーブ療法士の間ではPMSや生理痛の緩和によく使われています。
 安全でおいしい飲物としても十分に試す価値があるでしょう。
★ スカルキャップ(Skullcap/Scutellaria lateriflora 中国名:フワンチン)とバレリアン(Valerian/Valeriana officinalis セイヨウカノコソウ)
 どちらのハーブも鎮静剤や精神安定剤としてPMSにかかわる神経症や短気症を和らげる効果があります。
★ ダイズ、大豆製品、ピーナッツとその他のまめ科植物全般
 豆腐および他の大豆製品にはわずかですが自然の植物性エストロゲンを含んでおり、これは体内で生産されるエストロゲンの取り込みを制限する効果があるようです。この抗エストロゲン効果は乳ガンの予防にもなることが知られていますが、私にはこの大豆製品がPMSの症状の改善に役立たないと言う説が信じられません。
 とはいえダイズだけでなくピーナッツ、黒豆、ライマビーン(アオイマメ)もエストロゲンの成分のゲニスタインを含有しています。オランダビユ(scurfy pea/Psoralea corylifolia)にはダイズの50倍ものゲニスタインが含まれています。