ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 昔、音楽をやっていた頃のある夏、南カリフォルニアの海岸にあるホテルでトリオの一員としてベースを演奏していました。ドラマーがボーカリストで、これにはおかしな理由で音楽家ユニオンが三種類の楽器を許可しなかったからです。
 だからボーカリストはピアノの上に新聞紙を広げ、その上でドラムのブラシを使って演奏していたんです。
 ユニオンの係官には「見て下さい。楽器はベースとピアノだけでしょ。」とごまかしたものでした。楽しい夏の出来事でしたね。
 バンド仲間と私は昼間はペンキ屋のアルバイト、夜になると演奏活動でした。酒を飲むばかりで大したものは食べない生活です。こんな生活が体調を崩す原因で全員がたちの悪い下痢症状を起こしました。
 私たちのバンド名「Three Squirts in the Fountain(三つの吹き出す噴水)」そのままだと自慢にしたものです。
 誰でも下痢を経験したことのない人はいないでしょう。しかし多くの重大な病気が原因で下痢を引き起こすことがあります。ウィルスやバクテリアが起こす伝染性下痢は、いまだに第三世界の子ども達の死因のトップです。
 この章ではごく普通の48時間以内で納まる平凡な下痢を取り扱います。
 下痢症状に対して最も大事なことは液体を飲むことなんです、でもたくさんの人たちが反対のことをしています。水分を控えることが下痢の元を止めることだと信じている人たちは誤解からそうしてしまうのです。
 私がマチュピチュへのエコツーリストに参加したときのことをよく覚えています。下痢になった参加者の中の一人の女性が下痢の原因は水分の摂りすぎと信じており、一切の水分を摂らなかったのです。そのとき同行した医者は彼女にビン入りの水を飲ませるにはずいぶんと苦労していました。 実際の所は、下痢症状の主なリスクは脱水症状なのです。だから水か収れん作用のあるお茶などを冷凍庫で氷にしたものを一日中すするようにして、水分を少しずつ摂取して欲しいのです。
下痢のための「緑の薬局」
下痢の症状の時に使えるハーブは以外とたくさんあるのです。
有効なハーブに共通して言えることは三つかそれ以上の天然成分が含まれていること、それはタンニン、ペクチン、それと植物性粘質物です。
タンニンはある種類のハーブだけが持つ収れん作用のある成分で、組織を引き締めたり結び合わせたりする効果があります。タンニンの収れん作用は腸内の炎症を軽減するのです。
タンニンには炎症を起こした腸の粘膜のタンパク質層を固めて厚くさせるので有毒物質の吸収を押さえ込んでさらに分泌液を抑制してくれる働きがあります。
(訳者注:タンニンtannins=カテキンcatechins,お茶の渋み成分でポリフェノールの一種。お茶の中には緑茶に断然多く含まれ、紅茶やウーロン茶の場合は、発酵過程でカテキン類が約半分になる。緑茶カテキンは茶葉の種類によって異なるが、乾燥葉重量の8~15%含まれ、それを更に分類すると、約半分以上を占めるエピガロカテキンガレート(EGCg)、エピカテキンガレート(Ecg)、エピカテキン(EC)、ガロカテキン(GC)、カテキン(C)等が数えられる。これら緑茶カテキンの効能は発ガン抑制、動脈硬化予防、脂肪代謝異常の抑制、血圧上昇の抑制、血栓予防、抗糖尿病、抗アレルギー、抗ウィルス、抗菌、虫歯予防、口臭防止、腸内細菌叢正常化効果、など多くの分野で研究成果が公表されてきたが、中でも近年は特に抗酸化作用、活性酸素やフリーラジカルの消去作用が注目されている。活性酸素は白内障やアトピー性皮膚炎の発症、DNAを損傷し細胞のがん化の引き金になるなどの重大な弊害を生むが、緑茶カテキンは、人体にとっての代表的抗酸化物質であるビタミンEの比べて約50倍のスカベンジ能力(活性酸素消去力)があるとされている。健康・栄養食品事典より)
ペクチンは水溶性繊維物質で体液を吸収して大便の容積を増し、消化管(腸)を鎮静させる効果があります。店頭売薬の下痢止め薬の"ペクテート(米国名)"という医薬品はペクチンを主体とする薬です。
(訳者注:ペクチン=食物繊維の一種。野菜や果実、特に柑橘類に多く含まれている高分子多糖体で、水溶性のものと不溶性のものがある。水溶性のペクチン質は細胞間の結合物質で、熟した果実に多く含まれており、ジャムなどを作るとゼリー状に固める作用がある。食品添加物、微生物培地、胃腸薬などにも使われている。不溶性のペクチン類は、植物の構造を形成する重要な成分で、細胞壁のセルローズを包む層のプロトペクチンとして存在している。また、未熟な果実に含まれている不溶性のペクチン質は熟成するに従って水溶性のペクチン質に代わっていく。健康・栄養食品事典より)
腸内の粘質物は消化器系を鎮静させて水分を吸収させ相当膨張するので大便の容積を増やします。ここでは役に立つハーブを紹介しましょう。
★ アグリモニー(Agrimony/Agrimonia eupatoria セイヨウキンミズヒキ)
 ドイツの政府承認の科学者研究グループ、コミッションEはこのハーブを一般的な下痢治療に効果があると認めています、タンニンの含有率が高いからでしょう。
ティースプーン2杯の葉をお茶にして使うと良いでしょう。
★ アップル(Apple/Malus domestica リンゴ)
アップルの果肉にはペクチンが豊富です。古くからの神聖な民間療法の中に下痢止めにはアップルやアップルソースが使われているのです。
(アップルに含有するペクチンはまたおだやかな便軟化剤になるので便秘の治療にも使われます。
オオバコのように酸とアルカリの両方の性質を持つ植物は便秘でも下痢の時でも両方に効果のある食べ物なのです)
★ ビルベリーとブルーベリー(Bilberry and blueberry/Vaccinium コケモモ多種あり)
ビルベリーやブルーベリーの乾燥果物には下痢を和らげる力があります、なぜならこの果物にはタンニンとペクチンが豊富だからです。
★ ブラックベリーとラズベリー(Blackberry and raspberry /Rubus セイヨウヤブイチゴ、ヨーロッパキイチゴ多種あり)
ドイツのコミッションEはこのブラックベリーの葉をティースプーン2杯を使用したお茶は収斂作用があることを認めています。
でも不思議にラズベリーの葉にはちっとも言及されていないのですが、植物学的にはとても近くタンニンが豊富なんですねどね。両方とも効果が期待できるものです。
★ キャロブ(Carob/Ceratonia stliqua イナゴマメ)
30年ほど前にパナマでの仕事で、バクテリアに汚染された淡水亀を扱ったあとサルモネラ菌による激しい食中毒症状に襲われました。パナマ人の医者はキャロブの粉末を処方し、それを服用すると良く効いたのでした。
また、ほんの数ヶ月前、41人の小児のバクテリアまたはウィルス性の下痢の臨床に立ち会った時のことです。
偽薬(プラセボ)を与えられた子ども達は4日ほどの間下痢状態が続き、一方キャロブを投与された子ども達はそれに比べて2日ほどでおさまったのです。
★ キャロット(Carrot/Daucus carota ニンジン)
幼児のかかる下痢にニンジンを料理して用いるのはとても良いアイデアだと思っています。
調理したニンジンは、荒れた消化器系を和らげて、腸の中でニンジンとしての栄養分の補給は無くても下痢の鎮静に役立ってくれるのです。
★ フェヌグリーク(Fenugreek/Trigonella foenum-graecum コロハ)
この植物の種子には50%もの植物性粘質物が含まれているので、腸の中で水分を吸収しながら膨張し下痢を和らげてくれるのです。
(また、同じ理由で便をやわらげてくれるので便秘の解消にも役立ちます。ただし、一度にティースプーン2杯以上は使わないこと、腹痛の原因になります。)
★ オーク(Oak/Quercus 種類ありブナ科コナラ属の総称)
ドイツのコミッションEは乾燥したオークの樹皮ティースプーン1,2杯で収れん効果のあるお茶を作り飲むことを推薦しています。
★ パメグラネット(Pomegranate/Punica granatum ザクロ)
ザクロは聖書にも出てくるように下痢の治療にもしばしば使われます。驚くには当たりません、ザクロの種子には収れん効果があるのです。
★ シリウム(Psyllium/Plantago ovata イスパギューラ/オオバコの種類)
シリウムは通じをつける効果が大きいのです。植物粘質物が多く含まれ下痢の治療にもとても有効です。水分をとてもたくさん吸収することで、便の量を増やします。(便秘で使うと、便のかさが増えて腸内を移動するスピードを早めます)
このハーブにアレルギーの人もいるので使うときはあなたの身体の反応も十分に見ておきます。もしもアレルギーの兆候が見られたら、二度と使ってはいけません。
★ ティー(Tea/ Camellia sinensis インドチャ)
普通に使われるティーバッグの普通の紅茶は、最も収れん性の高い植物です。FDA(米国食品医薬品局)の規制のために、リプトンはティーバッグの箱に紅茶の医薬効果を印刷することができません。
もしも、読者の皆さんが次に下痢になってしまったら、おいしい紅茶を試してみて下さい。