トラブルを予見する

 ハーブを目的を持って摂取するときはそのハーブについてよく勉強してください。
 勉強するだけ自分の利益になのがハーブの世界です。もしも何か異常が起きたら摂取を中止して、信頼できる専門家に聞くこと。安全が一番です。ハーブ療法を試すときのアドバイスは次のようなことです。
確かな診断を元に目的を持つ

 自分の健康状態を専門の医師の診断によらず、自己診断だけで思いこみ、ハーブ療法を始めてしまうことは絶対避けてください。病気の診断は専門の医師ですら、誤診がついてまわるほど高度な技術を必要とします。自覚症状と専門家の診断技術があって初めて正しい診断が出来るのです。その後に治療法を主治医と患者が話し合い、治療方針(現代医薬品かハーブ療法《漢方も含む》、加えてダイエット、運動、生活習慣の矯正など全体を決めていくのが正しい方法です。
ハーブにだって副作用がある

 天然にしろ合成にしろ薬品には必ず生体反応があると思って間違いはないでしょう。植物の持つ数千種類の活性化学物質の中で生体に影響するものがたったひとつしかないとは思えないでしょう。病気にとって望ましい生体反応にしろ望まない反応にしろこれらを副作用という用語を使っています。
 もし、ハーブを服用したあとめまい、吐き気、頭痛など不快感があったらすぐに投薬を止める。そしてしばらくは静かに様子を見るのがよいでしょう。いずれにしろそのハーブで不快感があったらそのハーブを摂取するのは止めましょう。
アレルギー反応に注意する

 人間には何らかのアレルギーがあるもの。今はそれが何か解らなくても・・新しく試すハーブがアレルギー源かもしれない。自分の身体の反応に十分注意しておくこと。もし、おかしな兆候が感じられたらそのハーブの摂取を止め、かかりつけの医者にアドバイスを受けること。
 さらに、新しいハーブや食べ物、医薬品を飲んで30分以内に呼吸が困難に感じられたらすぐに119番で救急車を呼ぶこと。あなたは過敏症で、アレルギー反応のもっとも激しい反応を持つ人だからすぐに手当しないと致命的な結果をも引き起こすかも知れないです。
 ただしハーブに対する過敏症は非常にまれで過度に心配する必要はなく、常にこのようなリスク(危険性)の可能性を理解しておけばよいでしょう。
相互作用のこと

 薬はそれ同士又は食物と相互に悪影響をもたらすことがあります。もちろんハーブ療法も同じ事が言えますが、一般的にハーブの薬効の解説書にはこの点の説明を怠っているものが多いようです。日常では特に一種類以上の医薬品やハーブを組み合わせて摂取するときには注意が必要です。
 有害な相互作用は常にあり得ると言うことです。
 もしあなたが取り合わせに疑問を感じたら医者や薬剤師、ハーブの専門家に相談してください。ここでひとつの例として非常に悪い相互作用をあげておくと、抗うつ剤として知られているモノアミン酸化酵素(MOA)抑制剤とワイン、チーズなどの食べ物があります。この薬を常用されている人は上記の食べ物は避けてください。抗うつ剤効果を持つハーブとしてセイヨウオトギリソウ(St.-John's-wort)がありますので、このハーブを常用する方は摂取できる食べ物を専門家に相談ください。
広く情報を得ること

 ひとつの症例で医者とハーブ専門家との処方に違いがある時、たとえば不眠症に対して医者は睡眠剤を出し、ハーブ専門家は就寝前の温かい風呂と鎮静作用のある芳香療法を勧めたときなどがあります。このようなときは同時に試してもそんなに問題はありません。しかし、あなたが精神的に非常に落ち込んでしまった症状のとき医者が上記の抗うつ剤を出し、ハーブ療法の専門家がセイヨウオトギリソウを勧めたとき、また心臓発作の予防に一日半錠のアスピリンを飲むよう指示し、ハーブ療法の専門家がヤナギの樹皮かヒメコウジのお茶を一日一杯飲むように勧めたときなどは注意を要します。このお茶にはアスピリンと同等の効果があるため必要以上の薬効成分を摂取することになりかえって有害な事があります。自分が摂取している医薬品や特殊な食べ物は隠さず医療相談の時に話して置くことは事故を未然に防ぎます。
このコンテンツは、ジェームス・デューク氏の著書「緑の薬局」を、日本向けに翻訳しつつ補完したものです。