ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 1995年の後半、私はオハイオ州トレドの病院で100人以上の医者の前で講演する機会があった時のこと。医薬ハーブの話を終わった後、ある高齢のドクターが私をかたわらに引き寄せて話をはじめたのです:
 数十年前、彼がずっと若かった頃、TBのサナトリウムへ入所していたある男性と会ったのです。その当時、サナトリウムが流行っていて、TBに罹った人々が送り込まれて余生を送ることになっていたのです。一旦サナトリウムに入所すると殆どの人たちは家に帰れませんでした。でも、そのドクターが述べた男性はなぜか一時帰省が許されたのです。そしてこのことは大変好奇心をそそるような珍しいことでした。ドクターによると、そのTBの患者は散歩の最中にサナトリウムの裏庭に放棄されたオニオン(タマネギ)の山を見つけたのです。TBで体力が無く疲れたその患者はそのタマネギを食べ始め、数日間タマネギを楽しんだのでした。一ヶ月ほどすると彼は施設を出所できるまでに回復したのです。
 今、この話を薬用植物マニアの人たちが聞いたら大喜びしそうな話ではありませんか。明らかなことはタマネギが本当に抗バクテリア作用を持ち、大量のタマネギ食が彼の治療に何か役に立ったと言うことは可能性があることだと考えられます。
 TBは慢性の症状で通常は接触伝染性のバクテリアによる感染症で血流やリンパ節を通して体中に広がりますが通常は肺に集中することが多いようです。この病気に感染するには、殆どの人は繰り返しTBに罹った人と生活したり職場のような狭い居住施設に同居するなどして結核菌に曝される必要があります。たとえば、6ヶ月のあいだ毎日8時間、または2ヶ月のあいだ毎日24時間をTB患者と一緒に過ごすと、50%の確率であなたも患者になるのです。充分な医療施設がないような最貧困地域にひしめき合って住む住人達が病気の中心になってしまうことは仕方のないことなのです。
 私たち家族が30年前に住んだパナマでの住宅は広い家に住んでいたのですが、その当時に住み込みのメイドさんがTBの検査で陽性だと聞かされたのでした。家族全員がすぐにこの病気のチェックを受けたのです。運良く検査結果は家族全員がTB陰性反応だったのでした。
 発展途上国ではTBが感染すると死亡する率の高い病気で、成人の死亡原因の26%、全国民の死亡原因の6.7%に達する怖い病気なのです。アメリカ国内ではTBの罹患率の高い環境としてはヘルスケア・ワーカー、長期入院患者、刑務所への勤務者、エイズ患者などです。
 バクテリアは普通体内に入り込むと休眠状態で潜伏し、感染した人たちのおよそ10%が実際にTBを発症するのです。残りの90%は感染を意味するTB抗体を作り出しますが、感染した症状はなく病気をばらまくこともありません。
 殆どの場合、抗生物質でTBは根絶されます。しかし近年になって、エイズが急激に蔓延をはじめたことが引き金になり、バクテリアが耐性を持つようになり標準的な抗生物質では効かなくなってきたのです。現在、ニューヨーク市で新しくTBに罹る患者の1%が特定の抗生物質に耐性のあるバクテリアが原因とされ、再発性のTB患者の7%が2種類以上の抗生物質に耐性のあるものと言われています。複数の医薬品に耐性を持ったバクテリアによりTBにかかった人が完治する率は50%位で、この数字は抗生物質が開発される前の時代に人々が生き残るチャンスと同じ数字なのです。TBは現代でも大変重大な病気なのです。
 もしも反応テストの陽性ならば、必ず内科医の管理のもと過ごさなくてはなりません。医者が薬物治療を勧めたならば、従うことが絶対に必要です。
結核のための「緑の処方箋」

 薬物治療に加えて、役に立つことが証明されている多くのハーブがあるのです。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★★ エキナセア(Echinacea/Echinacea エキナケア)
 TB菌を含めてすべてのバクテリアに果敢に立ち向かうこのエキナセアは抗生物質を使い始めた後でもあなたの免疫システムを増強してくれます。このことは私がライム病(ライムボレリア症:ダニが媒介する菌による炎症性疾患)に罹った1996年にしたことと全く同じなのです。一日に三回エキナセア450ミリグラム入りのカプセルを摂り、バクテリアに対抗するために自分の免疫システムを増強するようにしたのです。
 同様な目的で、あなたは一日三回エキナセアのチンキ液を40滴ずつ使うと良いでしょう。(エキナセアを摂ると一時的に舌がひりひりしたりしびれたようになりますが、無害なものです)
★★★ フォーシシア(Forsythia/Forsythia suspense レンギョウ)
 中国ではフォーシシアを抗バクテリア防腐剤などとして使っています。濃いお茶にしたものは数種類のバクテリアに対して大変活性があります。この植物はTBへの臨床試験にも使われ、ハニーサッックルと同時に使われることもしばしばあるようです。
 多種の感染症と効果的に戦うためには私はフォーシシア1に対してハニーサックル2の分量の割合でお茶にしたり、ホットレモネードなどで摂るとよいでしょう。私としてはこの方法はTBの治療に大変効果が期待できると言う意味でお勧めします。
★★★ ガーリック(Garlic /Allium sativum ニンニク)
 もしも私がTBに罹ったかなと疑う症状を感じたら、とにかく医者にかかるまではガーリックを食べて、診断の結果を問わずその後も食べ続けるでしょう。私の今まで聞いた主だった意見の結果は、中国ではガーリックはTBの治療にも使われるということです。
 もしも私がTB菌に曝されているおそれがあれば、少なくともガーリックを一日1カプセル飲み始めますが、ただし使うガーリックの説明書を良く調べてカプセル1個には少なくとも生ガーリック1グラムと同じかそれ以上含有されていることを確認してください。
 優れた新刊書の中に「ガーリックとその近縁種の科学と治療適応例」の著者の薬剤学博士で生薬研究者のウィーン大学のハインリッヒ・コフ博士とユタ州スプリングビルのハーブ会社の“ネーチャーウエイ”で研究開発部門に勤めるラリー・ローソン博士はガーリックにはTBを抑制する効果のある抗生物質の役目をしてくれると説明しています。いろいろの研究でガーリックに含まれる抗生物質成分のアリシンが、TB菌に対抗するクロラムフェニコール(クロロマイセチン)とストレプトマイシンの様な抗生物質の働きを増強することがわかっています。
★★★ ハニーサックル(Honeysuckle /Lonicera japonica スイカズラ)
 ハニーサックルは中国では何世紀も昔から各種呼吸器系、TBや風邪、インフルエンザや肺炎などの症状の治療に使われて来ました。ハニーサックルの花のエキスはTBの原因になる菌も含めていろいろなバクテリアに強力に対抗する力があるのです。もしも私にTBの疑いをもたれたらこのハーブを躊躇無く使うでしょう。
 夏期には手のひらに山盛りの花部を使って沸騰したカップ一杯の湯に入れお茶にしたものを一日3杯まで飲みます。また冬期には枝の部分と乾燥葉で苦めのお茶が出来るので、レモンや蜂蜜を加えてハニーサックルレモネードに変身させます。
★★★ リコリス(Licorice (Glycyrrhiza glabra カンゾウ )
 私のデータベースによるとリコリスの乾燥葉には重量の33%もの抗バクテリア成分が含有するので中国ではリコリスがTBの薬と聞いてもそんなに驚きません。リコリスの根も抗ウィルス効果があり、風邪を引いたときなど甘味のあるハーブ茶として飲んだり、ライム病に罹ったときにもリコリス茶を飲んでいたようにしばしば愛用しています。私がこの病気と闘っているならば、きっとどんなハーブの治療にもこのリコリスを加えることだと思います。
★ ユーカリプタス(Eucalyptus (Eucalyptus globules ユーカリノキ)
 アジアでTBの治療に使われたもう一つのハーブです。あなたのお住まいが熱帯アメリカかサンフランシスコの湾岸地域でもないとこのハーブの生葉を見つけることは難しいでしょうが、エッセンシャルオイルならばアロマテラピー店で簡単に見つけることができるでしょう。
 お水又はお茶にこのエッセンシャルオイルを1,2滴たらします。この量は中国での一回分の服用量とおよそ同量になります。摂取してはいけないエッセンシャルオイルはたくさんありますが、ユーカリプタスは例外で過度に摂取しない限り大丈夫です。しかし1,2滴以上は使ってはいけません。これはとてもパワフルな素材なのです。
★★ オニオン(Onion /Allium cepa タマネギ)
オニオンはガーリックに大変近い植物種なので抗バクテリア作用も同じように持っており、TBのサナトリウムでタマネギを食べて治癒した患者の話を聞いても別に驚きませんでした。私がTBに罹ったらガーリックやオニオンをたっぷりと食べつもりです。