ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 私は個人的にはテレビのニュース・キャスター、ウォルター・クロンカイト氏とは特に親しいわけではないのですが、彼と私には多少似たようなところがあるようです。
 10年以上も昔の事ですが私たちが仕事の絡まない中国への気まま旅行でのこと、招待してくれたホストがハニーサックル(スイカズラ)のお茶を勧めてくれました。私たちが流感にかかっていたからです。彼はこのお茶を気管支炎の患者に使っているとのこと、この病気は気管支の炎症でしつこい咳や胸部うっ血や粘着性のタンを大量に生じる症状なのです。二人とも急速に快復して行き、私にとってはこのような古代からのハーブ治療が十分に役に立つことを確信するに良い経験でした。
 しかし現代医はこのような話を嘲笑する傾向があるようです。私たちの経験から言えるのは、科学者というものは「昔からの逸話」というだけで簡単に退けがちな事が多いと言うことです。
民間治療の有用性の研究
 そうですね、私たちのケースでは何の証明にもなりませんね。でもハニーサックルには逸話だけが残る怪しげなハーブなどよりももっといろいろあるのです。そのころは、たくさんの科学者が薬効を認めるためにこのハーブをたくさん食べまくったのです。
 たとえば、1993年には中国の研究者達は96人の気管支炎に罹っている子ども達を集め3つのグループに分けたのです。三分の一の子ども達にはハニーサックル、フォーシシア(レンギョウ)とスカルキャップを調合したもので漢方薬で言う双黄連が与えられました。別の一群の子ども達には抗生物質を与え、最後に残った一群にはそれら両方が与えられたのです。ハーブだけが与えられた子ども達は胸の症状、咳、熱、ゼーゼー言う呼吸が改善されました。抗生物質の群と比較するとハーブだけのグループは比較的良い結果です。子ども達は数日間発熱したあと咳やゼーゼー音もずっと楽になったのです。しかも問題になるような悪い反応は無いとのことでした。それが良い結果でした。
 気管支炎の治療には、このハーブをお茶かチンキの状態で摂取しても安全性が高く良く効くということが出来ます。かかりつけの医者には緊急時のために抗生物質の使用は控えるように頼むことです。抗生物質の厄介な点はこれを体内に注入し続けることで、ウィルスなどに耐性が生じることで治療を困難にすることがあるのです。
 中国での何百年もの民間療法の実績と、この研究だけでも私にハニーサックルやフォーシシア(レンギョウ)の呼吸器系の障害への治療薬としての可能性を信じさせるに足るものなのです。
 しかし見たところハニーサックルやフォーシシアを気管支炎の治療に効果がある事実をGRAS《米国食品医薬品局が認めた、摂取しても健康に問題が無いという安全認可のラベル》のリストに載せようと言うFDA(米国食品医薬品局)の動きは全く見られません。このFDAのやり方は私にとっては全くミステリーなのです。ハニーサックルやフォーシシアの安全で確かな薬効は注目出来るし、気管支炎や風邪・流感の胸部うっ血の治療に使用することに何の心配も要りません。ただFDAのお墨付きが無いために、私には皆さんにそれらのハーブを使うときは「自分の責任で使って下さい」としか言えないのです。
 気管支炎にはいくつかの考えられる原因があるのです。原因としてはバクテリアやウィルスまたは慢性の刺激物(たばこの煙やある化学物質との接触)等が考えられます。子ども達の環境によっては気管支炎や喘息などへ発達することもありますね、たとえば親の喫煙習慣や高レベルのホルムアルデヒド(化学物質の一種で新車や新しい家や家具の新しい匂いがそれ)の中で生活することです。しばしば病原菌と刺激物質とは悪い方に作用し合います。喫煙家は風邪の咳から気管支炎へと進みます。
気管支炎のための「緑の薬局」

 気管支炎は何の治療もなしに完治することもあるのですが、刺激物質が同時にあると慢性になりやすいものです。これが私がしっかりとした治療を勧める理由なのです。ハニーサックル(スイカズラ/ Lonicera japonica)やフォーシシア(レンギョウ/Forsythia suspensa)には私のお好みの気管支炎への天然生薬ですが、他にもいろいろあるんです。いくつか試してみましょう。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★ユーカリ(Eucalyptus/ Eucalyptus globulus )
 ユーカリの精油は去タン剤(タンを排除しやすくする物質)として優れています。コミッションEというドイツ政府へハーブを用いた国民の健康維持法をアドバイスをする科学者グループ集団は気管支炎や咳の治療にユーカリの精油の蒸気を吸気する方法を勧めています。ユーカリの葉のお茶を内服することでも同様の利益を得られます。
 私がこれを言う理由は、ユーカリを摂取したり体内に吸収したあと、その精油の一部は体内の肺の奥にしまい込まれます。そしてそれがあなたに抗菌力や消炎力、去タン作用を持たせ、のちのち体内に必要な時にユーカリの薬効を発揮してくれる効果を持っているからなのです。
★★ガーリック(Garlic/Allium sativum ニンニク)
 ニンニクをたくさん食べると気管支炎の予防になることは、このガーリックが抗ウィルス・抗バクテリア効果の高い化学成分をタップリ含んでいることが理由です。ガーリックは又あなたを風邪や流感から守ってくれるのです、ガーリック臭の息は人が近づくことさえ防いでくれますよ。これは冗談です!
 実際に、このガーリック臭の息には呼吸器系の病気の治療にこのハーブが大変有効だとデモンストレーションしているようではありませんか。体内でガーリックはアリシンを含むアロマの成分を放出し、アリシンには薬効範囲が広く防腐作用の最も強いものなのです。これら芳香成分は肺をとおして排出されるのでニンニク臭となります。これらの成分が肺に留まることはとても良いことなのです。この意味は、ユーカリの性質と同じようにからだがガーリックの活性成分を必要とする所に正しく行き渡るからです。ニンニク臭が気になる方はパセリの小枝を少々かみ砕いていればにおい消しに役立ちます。
★★マレイン(Mullein/ Verbascum thapsus ビロードモウズイカ)
 マレインはコミッションEが認証したように去タン効果が高いので呼吸器系の障害の治療に使われます。気管壁にとりついた粘度のあるタンの排出を助けてくれるのです。実際、マレインは数千年の間、呼吸器系の病気に良く効くハーブと言われてきたのです。
★★スティンギングネットル(Stinging nettle/ Urtica dioica セイヨウイラクサ)
 近年、ネットルは気管支炎や喘息、花粉症などに使われ始めて来ているようですがもちろん理由があるわけです。根や葉をジュースにして砂糖か蜂蜜を加えると気管支炎や喘息の症状を和らげてくれます。1カップ当たりドライハーブをティースプーン2杯に沸騰した湯を入れて自然に冷やしてから飲んで下さい。
★ カウチグラス(Couchgrass/Agropyron repensまたはElymus repens シバムギ)
 皮肉的に別名クエィクグラス(quackgrass/やぶ医者)ともいわれているハーブでわたしはこの名前の方がすきですね。でもその名前にかかわらず、やぶ医者なんかじゃありません。呼吸器系の病気には長い間よく使われていて、しかも効果が大きいものです。コミッションEはこのカウチグラスを気管支炎を含む呼吸器系の炎症全般の治療に薬効があることを認めております。
★イングリッシュ・プランテーン(English plantain/Plantago lanceolata リブワート、ヘラオオバコ)
 このハーブとプランテーンとは親戚で咳を鎮めるものとして世界的な評判を集めています。コミッションEは気管支炎の患者に安全で効果の高いものとして推薦しています。このハーブは抗菌作用が高いというボーナス付きなのです。
 カップ1杯にドライハーブをティースプーン1杯を入れ沸騰湯を注ぎ自然にさめるまで浸けて置いてから飲みます。
★ホアハウンド(Horehound/Marrubium vulglare ニガハッカ)
 コミッションEはホアハウンドが気管支の病気に有効だと認めていますが、なぜ米国のFDA(国食品医薬品局)は咳に何の効果もないなどと言うのでしょうか?まったくわからねえや!・・・ですね。私、個人的にはハーブ治療の時代が来てもFDAよりもコミッションEを信じていきましょう。ドイツではハーブ治療は米国よりも主流になりつつあり、コミッションEは真剣な研究をベースにしてそれらを国民に推薦しているのです。
 気管支炎には、このハーブで濃いお茶をつくりレモン、リコリス(カンゾウ)を加えて飲むと良いでしょう。カップ1杯にホアハウンドティースプーン2杯を入れ沸騰湯で浸します。
★アイビー(Ivy/ Hedera helix セイヨウキヅタ)
 コミッションEの情報によるとアイビーは気管支炎やほかの気管支系の問題の治療に大変有用です。
★ノットグラス(Knotgrass/ Polygonum aviculare ミチヤナギ)
 これもコミッションEが勧めるハーブですね。コミッションEはのどのヒリヒリや呼吸器系の病気、気管支炎の治療にノットクラスを推薦しています。
★マーシュマロウ(Marsh mallow/ Althaea officinalis ウスベニタチアオイ)と他種のタチアオイ
 コミッションEによるとマロウは呼吸器管系の鎮静効果(保護効果)に優れています。マーシュマロウは特に優れていて保護効果という面では抗炎症作用によるものと言われています。何世紀もの間、このハーブが気管支炎、風邪、咳、ただれの治療に使われてきたことが証明しています。
★プリムローズ(Primrose/ Primula veris イチゲサクラソウ)
 このハーブもコミッションEが勧めるものです。他にも呼吸器系の個々の症状に合うハーブを紹介していますが、このハーブは自然科学者として真摯にうなずけるもだと思います。
 プリムローズの花の乾燥ハーブをティースプーン1杯か又は根部をティースプーン半分使ったお茶を気管支炎、風邪、咳の治療に去タン剤として使います。
 ここで誤解を避けるために一言添えておきますが、このプリムローズは他の項に出てくるイブニングプリムローズ(Oenothera biennis)ではありませんのでご注意下さい。
★ソープワート(Soapwort /Saponaria officinalis サボンソウ)
 このハーブの根はコミッションEの研究によると気管支炎を含む呼吸器系の症状の改善に去タン剤として効果があります。この植物の成分(サポニン)には伝えられるところによれば痛みを和らげ抗炎症作用があり、含有する他の成分と相まって症状の改善を助けます。
 お茶にして飲むには、ドライハーブティースプーン1杯をカップ1杯に入れ沸騰湯を注いでさめたら飲みます。
★ ハーブの組み合わせ
 この章で取り上げたハーブだったらどれでも効果を期待できるとは思いますが、ハーバリストが勧める方法として種種類のハーブを組み合わせて使うことです。私の尊敬する英国のハーバリストで「ハーブ・ハンドブック」の著者でもあるデビット・ホフマン氏のお勧めはホアハウンド、マレイン、エレカンペーン(オオグルマ)を同量ずつ使う方法です。(エレカンペーンは消毒と去タン剤で使われて長い歴史があります。)
 私が気管支炎に試してみた他の組み合わせとしては、ホアハウンド、マレイン、プランテーン、カイエン、チックウィード、ケルプ、リコリス、プルーリジールート(ヤナギトウワタ)、ソウパルメットベリー、スリッパリーエルム樹皮(ヨーロッパニレ)、ワイルドチェリー樹皮が挙げられます。アメリカインディアンは呼吸器系の病気にこれらのハーブを使っていました。気管支炎の治療には、これらハーブに加えてエキナケアという免疫力増強効果のあるハーブを使っていたのではないかと、私は想像しています。
 お好みに組み合わせたハーブ茶につまむスナックなどに使える“気管支炎改善ジャム?”など作ってはいかがですか。ジンジャー、ガーリック、マスタード、チリペッパーとホースラディッシュかワサビをすり下ろして混ぜます。初めはほんの少量から始め、慣れるに従い増やしていきましょう。はっきりと言っておきますが、このハーブの組み合わせはすごく辛いです。これを使うと気管支管と同様に副鼻腔も拡張させるのです。至極まじめな話として、辛みを調整して(クラッカーやパンに付ける量を減らして)使えば症状の軽減に役立つこと請け合いです。もしくは以上に挙げた原料で作ったアッチッチのお茶を飲んでも良いでしょう。
★ビタミンCが豊富な植物
 研究によれば、入院している気管支炎の患者にビタミンCのサプリメントを与えると快復がより速いことがわかっています。毎日500ミリグラムのビタミンCの補給はアレルギーや喘息の軽快に役立つことがわかっているので、ビタミンCと呼吸器系や鼻腔の炎症には関連があることがわかります。
 ビタミンCの補給はお勧めできることですが、出来ることならばアカトウガラシやクリーンペッパー、柑橘系のフルーツ、チリペッパーなどでビタミンCを摂ることが望ましいですね。
★全粒穀物、ナッツなどのマグネシウムを含む食べ物
 ビタミンやミネラルのお話ですが、マグネシウム量の体内レベルが低下すると気管支炎のような呼吸器系の病気のリスクが上昇することがわかっています。体内のマグネシウム量を増やすことで、喘息発作やその他の呼吸器系疾患を減らせることがわかっています。
 自然療法医は、一般的な予防効果を得るには毎日300から600ミリグラムを摂ることを勧めているようですが、私もこのことは支持いたします。また、その他のマグネシウムに富む食材を選ぶと良いでしょう、たとえば全粒穀物、大豆、ナッツ、魚、乳製品、赤身肉などがありますね。